アントニオ・アルチディアコノ(Antonio Arcidiacono)
1948年の映画「揺れる大地」は、シチリア島の漁村トレッツァに住む貧しい一家の物語である。
主演のアントニオ・アルチディアコノは、長男で収入源のトップであるアントニオを演じているが、
他の出演者同様、彼もプロの俳優ではなかった。
ヴィスコンティ監督は、プロの俳優を一切起用せず、シチリア島の漁師とその家族を出演させて、
シナリオも用意せず、台詞は出演する漁師たちと相談しながら創ったという。
作品は漁師たちの厳しい現実を描き、搾取と貧困をもたらす社会の矛盾をストレートに告発するという
ネオレアリズモ映画の代表作となった。
代表作品
揺れる大地(La terra trema: episodio del mare)1948年(伊) シチリアの小さな漁村。漁師たちが命がけで水揚げした魚は、日々仲買人に買い叩かれる。青年アントニオは、 仲買人の搾取に苦しむ漁師たちに組合結成を呼びかける。だが、仲買人と結託する警察に捕まってしまう。 毎日、命がけで海に出る漁師たち。その無事を祈るしかない母や妻たち。食料にも事欠く貧しい生活だ。 しかし、ささやかな家族団らんがあり、切ない恋もある。 本作は、そんな大地にへばりついた庶民の暮らしを、ドキュメンタリータッチで描いた映像叙事詩である。 戦後の器材不足、資金不足のなか、監督自ら私財を投げ打ち、完成まで漕ぎ着けた執念の一作。 (監督)ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti) (出演)アントニオ・アルチディアコノ(Antonio Arcidiacono)アントニオ・ミカーレ(Antonio Micale) |
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揺れる大地(La terra trema: episodio del mare)1948年