スサノオ (出雲伝説1)     真日本史      人名事典)(用語事典

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地上に降り立ったスサノオが川辺を歩いていると、近くですすり泣きが聞こえる。

何ごとかと思った彼は、剣を手にし、身構えながら、とある家の中に入った。

すると、そこには泣いている老夫婦と、クシナダ姫という美しい娘がいた。


聞けば、この娘は末娘で、他の七人の娘は、ヤマタノオロチに次々に食べられてしまった。

頭が八つあるその恐ろしい大蛇は、まもなく獲物を求めて、村にやってくるという。


スサノオは、彼らの悲しみに心を動かされ、ヤマタノオロチを退治しようと決意する。

そこで彼は、老夫婦に命じて、八つの樽を用意させ、強い酒をなみなみと入れさせた。

こうして敵を迎え撃つ準備を整えたスサノオは、時が訪れるのを静かに待った。                   



ついにヤマタノオロチが姿を現した。川辺までやって来た大蛇は、酒の香りをかぎつけると

八つの頭を伸ばし、酒樽に突っ込んで、中の酒を勢い良く飲みはじめた。

やがて大蛇は、八つの頭を全て地に伏せ、すさまじいイビキをかきながら酔いつぶれてしまう。


これを見たスサノオは、すかさず剣を抜き放つと、大蛇の八つの頭を全て切り落としてしまった。

このとき、ヤマタノオロチから流れ出した血は、川辺全体を真っ赤に染めあげたという。


こうして大蛇を退治したスサノオは、クシナダ姫を妻とし、多くの神々をもうけた。

そのうちの一人が、五穀豊穣と縁結びの神、オオクニヌシ(大国主の命)である。

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三種の神器(さんしゅのじんぎ)



草薙剣(くさなぎのつるぎ)

スサノオがヤマタノオロチを退治した時、オロチの尾から見つかった神剣。アマテラス(天照大神)に献上されたと伝えられる。

ヤマトタケル(日本武尊)が東征の折、これで草を薙ぎ払ったことから、草薙剣の名がついた。
草薙剣は、三種の神器の一つで、天皇の持つ武力の象徴であるとされ、現在は愛知県の熱田神宮に祭られている。



八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

アマテラスの岩戸隠れの際に、アマテラスへの貢ぎ物として作成され、榊(さかき)の木に飾ったと伝えられる。
もともとは装飾品だったが、後に祭祀に用いられ、象徴的な価値を持つようになった。

陰陽道で宇宙を表す太極紋には勾玉の形が使われている。また家紋などに使われる勾玉の形は巴とも呼ばれる。
三種の神器の一つで、天皇の慈悲を象徴するとされ、現在は皇居に保管されている。



八咫鏡(やたのかがみ)

アマテラスの岩戸隠れの際に作成され、彼女が鏡に映った自分の写し身に誘われて外に出て、世界に光が戻ったと伝えられる。

鏡は神の力を持ち、真実を映し出すとされる。なお、裁判所の裁判官が胸に付けているバッジは、八咫鏡をモデルにしている。
三種の神器の一つで、天皇の知恵を象徴するとされ、現在は三重県の伊勢神宮に祭られている。