荒木又右衛門 決戦・鍵屋の辻 1990年(平成2年) ドラマ傑作選

郡山藩で剣術指南役を勤める荒木又右衛門(仲代達矢)は、妻の弟である渡部数馬(保阪尚輝)から
数馬の弟である源太夫(片桐光洋)が惨殺されたことを知る。
仇の名は河合又五郎(緒形直人)で、なんと荒木の剣友・河合甚左衛門(宇津井健)の甥であった。
荒木は秀でた剣術の腕を持たぬ数馬の助太刀を引き受け、共に又五郎の行方を捜すことになるのだが、
無事仇討ちを果たすには、又五郎を護衛する甚左衛門をも討たねばならなかった…。
曽我兄弟、赤穂浪士と並んで日本三大仇討ちの一つといわれる荒木又右衛門の伊賀上野・鍵屋の辻
における仇討ちを描いた三時間にわたる時代劇娯楽大作。
巷間で流布されている三十六人斬りの荒木又右衛門は、講談などの誇張で、天下の剣豪といえども
かくのごとき武勇伝は、まさにハッタリであろう。
ともすれば破天荒きわまりない又右衛門像を、本作では長谷川伸の原作によって一新し、武士道の
厳しさの中に深い思いやりの心を秘めた、すこぶる人間味に富んだ剣豪・又右衛門を誕生させた。
さて、物語の後半、又右衛門(仲代)は、弟の仇討ちを果たそうとする数馬(保阪)と旅に出る。
やっと捜し当てた又五郎(緒形)は、叔父の甚左衛門(宇津井)ら二十人余りに守られていた。
六時間にも及ぶ、多勢に無勢の壮絶な闘いが繰り広げられる。
弟を殺された怒り、憎しみ。そして藩の仇討ち決定までの長い時間の経過。
にもかかわらず、気持ちの高揚を保つ。武家社会という組織の中で、個人の感情を抑え続ける
緊張感が、動きを抑えたカメラワークの中にみなぎる。
息詰まる三時間、時代劇ファン必見のドラマである。
(制作)NHK(原作)長谷川伸(脚本)田向正健
(配役)荒木又右衛門(仲代達矢)妻・みね(大谷直子)渡部数馬(保阪尚輝)渡部源太夫(片桐光洋)
河合又五郎(緒形直人)河合半左衛門(平幹二朗)河合甚左衛門(宇津井健)安藤治右衛門(佐藤慶)語り(中村吉右衛門)
