ある少女の死 1981年(昭和56年) ドラマ傑作選


完治(小林桂樹)は、引退した父・信作(中村伸郎)の跡を継ぎ、院長として
東京郊外で、小規模の外科医院を経営している。
医師は自分一人で、難しい手術のときなど信作に手伝ってもらう程度だ。
ある日、腹部に激痛を訴える中学生・かおる(牛原千恵)が急患で担ぎ込まれた。
完治は、盲腸炎と診断、すぐに切除手術を行った。
だが、すぐに治るはずのかおるが手術後も痛みを訴え続ける。
日ごとに腹部が異様にはれ上がってきた。
四日目、腸ねん転だと気づいたときは、すでに手遅れの状態だった。
誤診から患者を死亡させてしまったある開業医の例を通して、命を預かる医者と
命を預ける患者の信頼と責任関係について考えていくドラマである。
院長の完治は、大病院にいる友人の外科医に再手術を託す。
だが、すべては手遅れのため、かおるは死亡。
悲しみに打ちひしがれる両親だったが、通夜の夜、そのやり場のない怒りを、
ついに爆発させたかおるの父親は、院長宅に怒鳴り込むのだった。
ドラマは、患者側の遣る瀬無い心理を浮き彫りにして、身につまされる展開となる。
完治が「隣の病院」にもいそうな医者という設定だけに、改めて誤診の怖さが伝わって来る。
外科医に扮する小林桂樹は、役づくりのために、実際の医師に手術シーンの手ほどきを受けた。
ところが、ミスをおかす医師という設定だけに、教える医師も複雑な表情をしていたとか。
(制作)NHK(脚本)柴英三郎
(配役)有平完治(小林桂樹)妻・久子(奈良岡朋子)長女・千尋(伊藤蘭)長男・健一(佐藤浩市)
有平信作(中村伸郎)竹内昭夫(河原崎長一郎)妻・道子(左時枝)長女・かおる(牛原千恵)
外科医・中本(日下武史)弁護士・山崎(仲谷昇)看護婦・トシ子(吉田日出子)
