ちゅらさん 2001年(平成13年) ドラマ傑作選

沖縄が本土に復帰した1972年、恵里(国仲涼子)は、小浜島の民宿「こはぐら荘」に生まれた。
高校卒業後に上京し、看護婦として働くうち、文也(小橋賢児)と偶然再会する。
文也は、恵里が小学生の時、東京から母親と共に、民宿「こはぐら荘」にやって来たのだった。
医師となっていた文也は、遠い日の沖縄での約束を思い出としてとどめていたが、
恵里の一途な思いに打たれてプロポーズ。
やがて生まれた男の子に、二人を結び付けた文也の亡き兄・和也の名前を付ける。
しかし、和也が心のバランスを崩し、一家は療養のため小浜島へ。
恵里は、和也の回復後も島にとどまり、心のケアを大切にした医療活動を始めるのだった。
本作「ちゅらさん」で、朝ドラは、第64作目となる。
これまで全国80か所以上が舞台になってきたが、沖縄が舞台となったのは本作が初めて。
「美しい」を意味する沖縄方言「ちゅらさん」をタイトルにつけ、深い人間ドラマとともに、
自然豊かな沖縄の魅力を日本中に発信することが、本作の第一の狙いであった。
番組制作にあたり NHK 側は、ヒロインが「本土復帰」の日に生まれた設定であることと併せて、
戦争や米軍基地といった政治的な問題にふれないということを事前に関係者に告げていたという。
だがこの時期、米兵による「少女暴行事件」や、それに続く「米軍基地移設問題」で、沖縄県内は
揺れに揺れていた。
こうした状況からは「商品化」できないマイナスイメージの沖縄を排除し、それを国民(視聴者)に
忘却させようとする送り手側の「商品戦略」が透けて見えてくる。
二千人の応募者の中から選ばれた明るくさわやかな沖縄出身のヒロインは、疲弊した社会や人々を、
励まし癒すかのような役柄を与えられたのである。
脚本は「最後から二番目の恋」「ビーチボーイズ」など、多くの秀作を生み出した岡田恵和。
岡田の母が沖縄出身で、母の旧姓をヒロインの姓に使ったという。
登場人物の優しさや、コメディタッチの作りなど、岡田の持ち味が生かされ、本作は大ヒット。
続編がNHKの月曜ドラマや土曜ドラマ枠で第四弾まで放映された。
テーマ曲も沖縄出身の Kiroro が担当し「明るいバラード調で、長く聴ける曲を」という制作側の
要望に応えた作品に仕上がった。
(制作)NHK(脚本)岡田恵和
(主題歌)Kiroro「Best Friend」(作詞作曲:玉城千春)
(配役)古波蔵恵里(浦野未来/国仲涼子)古波蔵恵文(堺正章)古波蔵勝子(田中好子)古波蔵ハナ(平良とみ)
古波蔵恵尚(宮谷恵多/ゴリ)古波蔵恵達(村上雄太/山田孝之)上村文也(山内秀一/小橋賢児)上村静子(真野響子)
城ノ内真理亜(菅野美穂)柴田幸造(村田雄浩)池端容子(余貴美子)下柳聡子(戸田恵子)佐々木奈々子(佐藤藍子)
