縁 1984年(昭和59年) ドラマ傑作選
日本画家・木庭秀豊(山村聡)は散歩の途中、池のほとりで澄子(竹下景子)に出会った。
澄子に暗い影を見た秀豊は、彼女を家まで連れて帰った。
秀豊の家で半年ほど暮らすうち、澄子は見違えるほど明るくなった。
以前からいるばあやのハル(杉山とく子)とも、すっかり打ち解けていた。
だが、澄子は過去のことは一切話さなかった。
やがて秀豊は、澄子をモデルに絵筆をとるようになった。
1969年「小説新潮」に掲載された芥川賞作家・芝木好子の短編小説「二人の縁」のドラマ化。
男に裏切られ、自殺を思いつめた女が、池のほとりで老画家と出会い、不思議な縁が生まれる。
秀豊には、嫁いだ娘と別居している息子とがいたが、娘や息子は、秀豊と澄子が世間に
恥ずかしい仲にならないうちにと、澄子を嫁にやろうとしたりした。
だが、澄子は嫌がり、また秀豊も彼女を手放したくはなかった。
秀豊は、澄子を可愛いと思い、澄子も父親のような秀豊を尊敬し、頼もしく思っていた。
澄子を可愛いと思うのは、彼女が若いからではない。
正直で飾らず、老画家への好意を隠さない、その純情が可愛いのである。
彼女の美しさもまた、その気立てによって更に輝き、画家の創作意欲を刺激するのだ。
68歳の老画家と、22歳の娘。年齢は離れていても、心はすぐ近くにあるのだった。
(制作)TBS(原作)芝木好子(脚本)橋田寿賀子
(配役)木庭秀豊(山村聡)秋田澄子(竹下景子)ハル(杉山とく子)木庭辰子(水谷良重)
木庭連介(三上真一郎)三園(宅麻伸)家政婦(浦川麗子)矢野原(倉石功)