ハイカラさん   1982年(昭和57年)       ドラマ傑作選

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明治15年、サンフランシスコから横浜に向かう貨客船で帰国する野沢文(手塚理美)ら、

三人の日本人留学生は、ひどい船酔いに苦しめられた。


医務室に船酔いの薬をもらいに行った文は、誤って船倉に迷い込む。


そこで日本人青年・次郎太(木村四郎)と知り合った。

彼は有り金をはたいて牛を買い、アルバイトをしながら日本に帰るところだという。



アメリカ生活を体験したハイカラ娘が外国人を泊めるホテルを作り上げるという奮闘記。




たくましい明治の女性の生き方とともに、同じ道を歩む夫との夫婦愛を文明開化から

富国強兵へと移り変わる時代相を背景に描く。


物語は、留学を終えた三人の娘が横浜に向かうところから始まる。


日本政府の留学生であり、後に津田塾大学を創設した津田梅子ら、実在の人物が登場し、

文明開化時代の女性像が伺えるのが興味をひく。


また、ヒロインの実家である横浜の油屋を舞台に、アメリカと日本の生活様式や

文化の違いを、劇中で面白おかしく描いている。


だが、物語の舞台が百年以上も前の明治15年とあって、時代に沿ったセットや小道具を

揃えるのに、スタッフは苦労の連続だったという。


例えば、ドラマの第一回目に出て来る横浜港の税関や待合室は、スタッフがひと月近く

東京や横浜の資料館に通って、やっとそれらしい絵図面を探し出したという具合である。


困ったのは、当時流行した「手回しミシン」や「バター製造機」などの輸入舶来品だ。


台本に一行触れられているだけの品を、各地の骨董品店を探し回って借用してくるのだが、

そうした美術スタッフの苦労は並大抵ではなかったという。



(制作)NHK(脚本)大藪郁子

(配役)野沢文(手塚理美)野沢仙蔵(三国一朗)野沢花(藤村志保)野沢仙太郎(河原崎建三)

石川留吉(坂上二郎)石川菊(根岸季衣)桐原次郎太(木村四郎)小林敬作(尾藤イサオ)

津田梅子(清水泉)山川捨松(丘山未央)今出川蘭子(ジュディ・オング)ナレーター(川久保潔)


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