華やかな荒野 1974年(昭和49年) ドラマ傑作選


ファッションメーカー「丸和紡績」に入社して5年目の滝村達也(古谷一行)には、
結婚の約束をした女性がいた。社内で知り合った内川幸恵(紀比呂子)である。
ある日、二人は軽井沢に遊びに行き、そこで井村博子(中野良子)と出会う。
博子は、丸和紡績の課長・野見山(植木等)の娘の大学の先輩だった。
博子はまた、滝村たちに大倉絢子(香山美子)を紹介する。
絢子(あやこ)は名を知られたデザイナーだった。
一方、丸和紡績「製品事業室」では、75年春のテーマを目指し、プロジェクトチーム結成の構想が進められていた。
その構想に進退をかける常務・杉森(水島弘)は、入社同期だが万年課長の野見山に、チームのキャップを命じた。
チームにはそのほか、滝村、原田(森本レオ)、秋津(篠田三郎)の花の5年組トリオと、庶務の朱実(秋吉久美子)
がメンバーとして加わった。
テーマは決まったものの、それを商品化するためには、優秀なファッション・デザイナーが必要だ。
野見山は、デザイナー・大倉絢子を獲得するために、自ら会って説得しようとしたが、絢子は会うことさえ拒否した。
チームの一員である滝村は、絢子と親しい博子に頼み、絢子に会わせてもらい、野見山の苦しい立場を説明し、
懇願するが、絢子は冷たく拒むだけだった。
数日後、博子は、かつて大倉絢子に貢ぎ、今は落ちぶれてしまった小山(井上孝雄)という男を呼び寄せる。
その後しばらくして、製品事業室は、博子のおかげで待望の大倉絢子を迎えることが出来、湧きかえっていた。
翌日、滝村は、博子に会って礼を言う。だが、博子は、大倉絢子の過去の古傷を暴いて、彼女に仕返しを
したことを打ち明け、自分の行為の恥ずかしさに涙ぐむのであった…。
華々しいファッション業界を舞台に、キャンペーン展開に日夜苦労する、6名のプロジェクトメンバーの
奮戦ぶりを描く都会的タッチのサラリーマン劇。
タイトルの「華やかな」とは、この作品が描こうとするファッション界と、高級ファッションを身に着ける
上流階級を意味する。
上流社会の甘い生活に魅せられてしまった青年(古谷一行)が、婚約者のOL(紀比呂子)を捨て、
金持ちの娘(中野良子)へと、愛を傾斜していくのが中心の話。
その過程で、ファッション産業を舞台に、現代企業の裏面を描こうとしている。
本作は、新人の古谷一行のドラマ初主演作。やり手の若手社員、滝村達也役を好演している。
古谷が主人公なのだが、ドラマ中盤から、植木等ふんする中間管理職に人気が集まった。
やっと出世して製品事業室の室長になった。一方、大学時代の友人は、常務である。
しかも、室長などという中間の管理職ほどアイマイなものはない。
上役から無理な命令を受け、部下のヤングたちから強い反発を受けて悩む植木。
かつて「日本一の無責任男」シリーズで、奔放に生き抜いた感のあった植木が、役柄の上とはいえ、
無気力なミドル層を演じていることに、「高度経済成長時代」から、石油ショックによる不況へと
日本経済の大変貌を感じずにはいられない。
(制作)TBS、木下恵介プロ(脚本)石松愛弘
(配役)滝村達也(古谷一行)内川幸恵(紀比呂子)野見山重信(植木等)野見山和子(白川由美)
野見山美穂(秋谷陽子)杉森常務(水島弘)原田恒夫(森本レオ)秋津元貞(篠田三郎)
鈴木朱実(秋吉久美子)井村博子(中野良子)大倉絢子(香山美子)小山(井上孝雄)
