繭子ひとり 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
繭子(山口果林)が5歳の時、母・三輪子(草笛光子)は、弟・克彦を連れて姿を消した。
祖母の話では、父が出稼ぎに行ったまま帰らず、母は世間体もあって家を出たのだという。
以来繭子は、祖母(北林谷栄)ともども、おじの久作の家に引き取られて育った。
21歳になった繭子は、母の家出の真相を知りたいと思うようになる。しかしおじの久作に
八戸の高校まで出してもらった繭子は、そんな思いにばかりひたってはいられなかった。
リンゴ園を営むおじ一家にとって、いまでは繭子も大事な働き手の一人だったのだ。
ある日繭子は、母の友人という元芸者・千代(冨士真奈美)から、数年前千葉県の銚子で
母とは芸者仲間だったと聞いて驚く。
繭子はついに家出をして上京し、母と弟の行方を追おうと決心するのだった。
両親と離れて育った繭子(山口果林)は、故郷の八戸の高校を卒業後、母親を訪ねて上京する。
雑誌記者の仕事についた彼女は、母を捜す一方で、編集長・北川(露口茂)との恋にも悩む。
けなげに生きる中で、繭子がさまざまな人間とふれあい、心の成長を遂げていく様子を描く。
ヒロインを演じた山口果林は、桐朋学園演劇科を卒業後、俳優座養成所で仕込まれた実力派。
本名は、山口静江。芸名の「果林」は、作家の安部公房氏が名づけ親。リンゴに似た果物
「カリン」に印象が似ているからという。
本作は、平均視聴率47.4%、最高視聴率55.2%という驚異的な数字を記録した。
舞台になった青森県三戸市の城山公園には繭子のブロンズ像が建てられたほどである。
また、黒柳徹子が度の強い丸眼鏡をかけた東北なまりの家政婦に扮して出演し、その個性的な
演技は、時にヒロインを追い越すほどの人気を博した。
(制作)NHK(原作)三浦哲郎(脚本)高橋玄洋
(主題歌)島崎みどり、コンセール・レニエ「繭子ひとりのテーマ」(作詞:高橋玄洋、作曲:柳沢剛)
(配役)加野繭子(山口果林)加野三輪子(草笛光子)加野克彦(石橋正次)加野謙吉(江戸家猫八)加野のぶ(北林谷栄)
おじ・久作(多々良純)おば・定枝(市川寿美礼)美子(四方正美)海江田恵吾(山田吾一)中谷豊子(青柳三枝子)
大西先生(宮城まり子)長沢先生(杉良太郎)浅川千代(冨士真奈美)田口ケイ(黒柳徹子)北川隆史(露口茂)語り(石坂浩二)