IP アドレスは、ネットワークアドレスとホストアドレスで構成されています。
ホストとは、ネットワークに参加しているコンピュータや機器のことです。
ルータは、あて先 IP アドレスのネットワークアドレスを見て、パケットを転送する必要があるかどうかを判断します。


   

IP アドレスの役割は、ホスト (パケットの転送先) を特定することにあります。
転送先にパケットを届ける場合、ルータはまずネットワークを特定してから、目的のネットワークのルータにパケットを送り、
そのルータがネットワーク内のホストにパケットを届けています。

このようにネットワークアドレスとホストアドレスの情報が揃ってはじめて、ホストを特定できるのです。

IP アドレスは、現実の世界で例えるならば、住所のようなものです。
パケットを、宅急便の 「荷物」、ルータを 「配達員」 に例えてみましょう。

上の図では、あて先はアパート名 (日の出荘) と部屋番号 (10号室) の組み合わせになっています。
IPアドレスの場合も考え方は同じです。
IPアドレスは、ネットワークアドレスとホストアドレスの組み合わせになっています。

一番左側のあて先のアパートは、「192.168.0」 (日の出荘) というネットワークに属する 「10」 (10号室) というコンピュータ (ホスト)
であると考えることができます。

送り主 (送信側) が荷物 (パケット) の配達を配達員 (ルータ) に依頼すると、配達員は状況に応じて、最適な道 (ルート) を通り、
安全に荷物をあて先 (ホスト) に届けてくれます。



(3) グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

インターネットで使用する IPアドレスは、インターネット上に存在する様々なコンピュータの住所に相当する番号です。
インターネットは世界規模の広域ネットワークのため、住所には決して同じ物があってはなりません。
そのため、インターネットで使用するIPアドレスは、「IANA」 (Internet Assigned Number Authority) という組織により一元管理されています。
このような IPアドレスを 「グローバル IPアドレス」 と呼び、インターネット上のサーバーや、ルータ、そしてみなさんの家のモデムにも
割り振られている固有の番号です。

IPアドレスは 「213.123.12.222」 というように、「.」 で区切られた四つ数字の集まりとして表されます。
1つの数字の範囲は0~255までで、これが4つありますから、256×256×256×256で42億9496万7296台のコンピュータに
独自のIPアドレスを割り振ることができるのです。

こうして自分だけのIPアドレスを持つことで、インターネットに繋がる全てのコンピューターは自分宛のデータを受け取ることができるのです。

では、みなさんの家のパソコンはどうなのでしょうか?
ルーターを用いてLANを組んだパソコンにもそれぞれIPアドレスが振られています。
これら自分達の家庭で使用するパソコンもわざわざIANAに申請してIPアドレスの使用許可をもらわなければならないのでしょうか?

そんなことはありません。
LAN内で使用するIPアドレスはグローバルIPアドレスではなく、「プライベートIPアドレス」という種類のIPアドレスです。

プライベートIPアドレスとは、その名のとおりLAN内でプライベートに使用できるIPアドレスのことで、自分の好きなように割り振れるIPアドレスのことなのです。
これを自分の家で組んでいる家庭内LANにあてはめて考えてみましょう。

ルータから外側にあるモデムは、直接インターネットに接しています。
よってモデムにはグローバルIPアドレスが割り振られます。

逆にルータから内側にあるパソコンは、ルータあるいはモデムを介してインターネットに繋がっており、直接外部には接していません。
よってルータに接続してあるパソコンにはプライベートIPアドレスが割り振られます。
IPアドレスのうち、「10.0.0.0~10.255.255.255」、「172.16.0.0~172.31.255.255」、「192.168.0.0~192.168.255.255」の範囲は
グローバルIPとして指定されないことになっています。

つまりこの範囲内のIPアドレスがプライベートIPアドレスとして割り振ることのできるIPアドレスの範囲になり、
それ以外がグローバルIPアドレスとして割り振られています。

IPアドレスの構造
IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部という部位に分かれています。
インターネットは、無数のネットワークの集合体であり、そのネットワークの中に複数台のコンピュータが接続されています。
この中のネットワークの部分を「ネットワーク部」、コンピュータの部分を「ホスト部」と呼んでいます。

この「ホスト部」と「ネットワーク部」は、ネットワークの規模により占有する部位が異なります。
このネットワークの規模に応じたネットワーク部とホスト部の使い分けを「クラス」と呼びます。

クラス別によるネットワーク部とホスト部の種類は以下の物があります。

クラスA
形式 NNN.HHH.HHH.HHH (N: ネットワーク部  H: ホスト部)
範囲 0.0.0.0-127.255.255.255先頭部分の番号が1~127までがネットワーク部、
それ以外の「H」の部分がホスト部で構成されるクラスを「クラスA」と呼びます。
このクラスAには1,677,214台以下のコンピューターに対してlPアドレスを割り振ることができます。
大規模のネットワークで使われるクラスです。

クラスB
形式 NNN.NNN.HHH.HHH (N: ネットワーク部  H: ホスト部)
範囲 128.0.0.0-191.255.255.255
先頭の部分と2つ目の部分がネットワーク部、残りがホスト部で現わされるクラスです。
先頭の部分は128~191まで、次の部分は0~255までの値を使うことができます。
クラスBの範囲は65,534台以下で、中規模な組織のネットワークに割り振られます。

クラスC
形式 NNN.NNN.NNN.HHH (N:ネットワーク部  H:ホスト部)
範囲 192.0.0.0-223.255.255.255
上位3つがネットワーク部、最下位の部位はホスト部で現わされるクラスです。
先頭の部位の数値は192~223までで、254台までのコンピュータを扱う小規模な組織のネットワークに割り振られる番号です。

グローバルIPアドレス
インターネットを利用するには、外部とデータをやりとりするため通信相手を特定する必要があります。
しかし、インターネットには世界中の人が接続しており、通信相手を特定するのは困難です。
そこで、インターネットの中に存在する機器(ルータ、パソコン、サーバーなど)の特定を行うための番号がグローバルIPアドレスです。

グローバルIPアドレスは、世界中で決して同じ番号が重複しないよう管理されている、固有のIPアドレスです。
このグローバルIPアドレスは、自分が加入しているプロバイダからモデムに割り当てられます。
こうして割り当てられたグローバルIPアドレスにより、外部からあなたのモデムに住所が割り当てられたことになり、
あなたのパソコンのWebブラウザにホームページが表示されたり、メールを受信できるようになるのです。

動的IPアドレス
ブロードバンドインターネット接続を利用する際、まず一番最初に行うアクションは、「モデムの電源を入れる」ことでしょう。
例外としてCATVの場合には常時ケーブルモデムの電源は入れっぱなしの場合が多いので、ここではADSLを例にとってお話します。

次にパソコンの電源を入れます。
ブロードバンドインターネット接続を利用している人は回線業者によって細かい接続方法は異なりますが、

①モデムの電源を入れれば自動的にインターネットヘ接続済みの状態になっている
②PPPoE接続ソフトを使ってパソコン上からインターネット接続を行う
  の2つのうち、どちらかだと思います。

この課程でIPアドレスが、あなたのモデムに対して割り振られます。
割り振られるIPアドレスは「グローバルIPアドレス」です。
このグローバルIPアドレスは、自分が加入するプロバイダが、あなたの家のモデムに対して割り振る番号で、
インターネットに接続するために、モデムの電源を入れると、加入するプロバイダから「今回はこの番号を使っでください」
といったようにあなたのモデムに割り当てられます。

この方法だと、モデムの電源を入れた際に、プロバイダからあなたの家のモデムに対してIPアドレスが割り振られるので、
次回に電源を入れたときには、前回とは違うグローバルIPアドレスが割り振られることになります。

このような方式で割り振られるIPアドレスを「動的IPアドレス」、「動的IP」と呼び、ほとんどのユーザーはこの動的な
グローバルIPアドレスを割り振ってもらってインターネットを利用しています。

固定IPアドレス
動的IPアドレスに対し、回線業者や、プロバイダとの契約によっては、「固定IPアドレス」または「静的IPアドレス」という契約形態があります。
この契約を行うと、先ほど説明したようにモデムの電源を入れる度にグローバルIPアドレスが変わるということがなく、
契約時に割り振られたグローバルIPアドレスをずっと使い続けることができます。

この固定IPアドレスのメリットとしては、自分の家、またはオフィスでサーバーを構築できるということが挙げられます。
IPアドレスがずっと変わらないということは、自分で自宅にサーバーを設置して、外部からそのサーバーにアクセスしようとした場合、
契約時のIPアドレスを指定すればアクセスできます。
また、Webサイトを開設した場合でも、「http://www.aaa.bbb.ne.jp」という決まったURLを使うことができるので
(オリジナルのドメインを使う場合は、然るべき機関への届け出が必要)、そのURLを公開すれば、様々な人がアクセスできるようになります。

これが動的IPアドレスならば、モデムの電源を入れ直す度にIPアドレスが変わってしまうので、外部からアクセスしようとしても、
常に新しいIPアドレスを覚えていなければアクセスはできません。
Webサーバーの場合も同様です。

では、ブロードバンドを利用する人は、「動的IPアドレス」、「固定IPアドレス」のどちらで契約する場合が多いのでしょうか?
家庭で使う人は圧倒的に「動的IPアドレス」ユーザーの方が多いでしょう。
ちなみに契約料金的にも「動的IPアドレス」のコースの方が安く、TVのCMや雑誌のCMなどで提示されている金額も、
この「動的IPアドレス」コースの値段です。

一方、「固定IPアドレス」コースを選ぶユーザーは、自分でサーバーを持ちたいユーザーや業務でサーバーシステムを
使う必要のあるユーザーなどが多いようです。

プライベートIPアドレス
自分の加入するプロバイダから割り振られる「グローバルIPアドレス」とは別のIPアドレスも存在します。
それが「プライベートIPアドレス」です。
このプライベートIPアドレスは、ルータが自分に接続されているコンピュータに対して割り振るIPアドレスであり、
「ルータタイプ」のADSLモデムを使用している場合に、各パソコンに割り振ってくれます。
ルータ機能を持たない「ブリッジタイプ」のモデムの場合には割り振られません。

では、何故、ルータタイプのモデムだけが「プライベートIP」を割り振る必要があるのでしょうか? 
そしてプライベートIPアドレスとはどういう番号なのでしょうか?

それは、ルータという機器は、複数のコンピューターを管理するための装置であるからなのです。
つまり、ルータ機能を搭載したモデムを使っていて、家庭内でLANを組んで複数のパソコンをインターネットに接続させている場合、
モデムがインターネット網から受信したデータの行き先は複数存在することになります。

このとき、Aというパソコンを利用している人と、Bというパソコンを利用している人が同時にインターネットに接続していたら、
ルータは、インターネットからやってきたデータをAとB、どちらのパソコンに対して届ければいいか迷ってしまいます。
当然、この場合でも、「Aからリクエストされたデータだから、Aに届けよう」と、自分に接続されているコンピューターを識別させなければなりません。

この識別に使われるのが、「プライベートIPアドレス」と呼ばれる、IPアドレスです。
この場合のIPアドレスは、先に説明した「グローバルIPアドレス」とは異なるものです。要はルータにとって、自分に繋がれている
コンピュータや装置(プリンタなど)が判ればいいだけなので、プロバイダからのグローバルIPアドレス割り振りを頼むのではなく、
今度はルータ自身が自分に接続された機器に対してIPアドレスを振ってやるのです。
ちょうど、モデムがプロバイダからグローバルIPアドレスを割り振ってもらうのと同じ仕組みです。

これによりルータは、固有の識別番号であるプライベートIPアドレスを割り振られた各コンピューターに対して、
整然とデータを分配することができるようになります。

この「プライベートIPアドレス」は、LAN内でのみ有効なIPアドレスであり、家庭内LANなどで、他のコンピューターに対して
ファイルなどを転送する場合や、ネットワークで接続されたプリンタにデータを出力するときなどに使います。

ルータから外の世界、つまりインターネット網に対してのアクセスにはグローバルIPアドレスを用いてアクセスします。
「LAN内でのみ有効」ということは、世界中で重複したIPアドレスが存在することになります。
しかしそれで問題はありません。
あくまでもインターネットの玄関口はルータであり、そのルータ自身には「世界中で唯一無二の」グローバルIPアドレスが振られています。
ルータから内側の世界は、インターネットの世界からは隔離されているからです。

ちなみにブリッジタイプのモデムの場合には、ルータ機能を有していなく、さらに1台のコンピューターのみの接続しかできませんので、
「プライベートIPアドレス」は割り振られません。
ただし、例外として、市販品のブロードバンドルータを接続すれば、ブリッジタイプのモデムであってもルータ機能搭載の
モデムと同様の機能を持つことができます。



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