ネットワーク・LAN・WAN
【ネットワーク】
ネットワークとは、情報の流れる経路のこと。
たとえば、私たちは普段、何気なしに電話を使用して会話をしているわけですが、
これは電話が公衆回線網というネットワークにつながれているからできることです。
もっと単純に言えば糸電話。
これも紙コップを1本の糸でつなぐだけでおしゃべりできますよね?
あれは音の波形が糸を伝わってうんぬんとか色々原理があるんでしょうが、
要は「音声を流すことのできるネットワーク」に2つの紙コップをつないだからできるわけです。
この場合のネットワークとは単なる1本の糸ですが、先ほど言ったように「ネットワークとは情報の流れる経路」なのであって、
その経路が何でできているかは問題じゃないんです。
この1本の糸だって、立派なネットワークなのです。
つまりネットワークとは何か特別なものというわけではありません。
コンピュータの場合はネットワーク上を流れる情報が、音声ではなくてファイルなどの「電子データ」となるだけなのです。
【LAN】
さて、コンピュータにおけるネットワークと言った時に欠かすことのできない用語がLANとWANです。
LANとはロ一カル・エリア・ネットワーク (Local Area Network) の略で、事業所やビル内といった比較的狭い範囲のネットワークをこう呼びます。
最近では複数台のパソコンを持つ家庭も増えましたが、そういった家庭で構築するネットワークもやはりLANということになります。
LANを構築するメリットとは、ネットワークを構築するメリットそのもので、ファイルの共有やプリンタを代表とする外部機器の共有にあります。
現在主流となっているWindows OSにはネットワークの機能が標準で組み込まれており、こうしたメリットを簡単に享受できるように
なっています。
LANにも様々な規格があり、その接続形態はバス型、スター型、リング型といった3種類に分かれます。
特に八ブを利用した接続形態である、スター型LANがもっとも一般的です。
【WAN】
WANとはワイド・エリア・ネットワークの略で、距離的に離れているLAN同士が専用線などによって接続されている
ネットワークをこう呼びます。
たとえば企業で支社間同士を接続するなど、そういったネットワークを想像すると良いでしょう。
WANで用いる専用線は、かなり高額なものでない限り、一般的にLANのものよりも大幅に速度が劣ります。
そのため、支社間をつないだからといって、LANと同様の感覚でファイル共有や外部機器の共有を行うといった用途には向きません。
多くは仕事上必要となるデータの受け渡しや、人事管理など基幹業務を集中管理するための利用となります。
現在注目を浴びているインターネットに関しても、世界中のLAN同士を接続したものととらえることができますので、広い意味でWANの
一種だと言うことができます。
以前はコストの高い専用線を使って構築していたWANですが、最近では暗号化通信の発達により、このインターネットを利用して安価に構築する例も増えています。
(用語の解説)
専用線 leased circuit
本社と支社など特定区間を結ぶために電気通信事業者から借りた専用の通信回線のこと。
公衆回線のように交換機が介在しないため回線品質が高い、常時接続していても料金は一定、などの利点があります。
料金は距離と回線品質、速度で決まります。
最近ではインターネット用にプロバイダーとの間を専用線で接続する企業が増えています。
NTT東日本、NTT西日本の専用線サービスの場合、デジタルデータ通信用には2400bpsの低速回線から、光ファイバーを用いた
10Gbpsの高速回線まで各種サービスが用意されています。
(3) LANのメカニズム
LANとは、ローカルエリアネットワーク(LocalAreaNetwork)の頭文字を取ったもので「ラン」と読みます。
1つの建物内など限られた範囲内でコンピュータや周辺機器を接続することで構築される構内ネットワークを指します。
ローカルエリアネットワークは、日本語では「構内情報通信網」とか「企業情報通信網」などと呼ばれていますが、この言葉の示すとおり、
限られたエリア内で構築されデータ通信を行うための通信ネットワークをLANというわけです。
現在では、高機能低価格化から企業内でも1人1台といった割合でパソコンが普及しはじめており、複数のパソコンをLANとして接続し、
パソコン間では様々な情報のやり取りを実現しています。
また、家庭内LANという言葉が誕生するなど、LANの普及は一般家庭にまで及びはじめています。
LANの特長としては、高速でかつ高品質な情報交換と、接続されたコンピュータの情報や周辺機器などの資源の共有化が挙げられます。
LAN内でやり取りされるデータ通信速度は、通常毎秒10M ビットです。
つまり、「0」もしくは「1」で表現される情報の最小単位を1秒間に1000万個、コンピュータからコンピュータに送信することができるキャパシティを
持っているということになります。
通常インターネットへ電話回線を経由させモデムによって接続する際の平均的な通信スピードは2万8800~3万6000ビット/秒ですから、
LANの通信速度がいかに高速であるかわかります。
また、一般のパソコンに接続されているハードディスクの読み込み速度が20~100M ビット/秒であることを考えると、LANで接続した
コンピュータ同士の情報のやり取りは、基本的に自分のマシンに接続されたハードデイスクから情報を読み込む半分程度の速度で実現することになります。
このようにLANによる接続は、ネットワーク上のコンピュータ同士の情報交換を高速で行うことを可能にさせます。
現在ではFDDl、CDDl、100BASE-TXなど、使用メディアによっては100M ビット/秒の転送速度を実現するLANも登場し、実用化されています。
ネットワークを構築し、ネットワーク管理用にサーバを導入した場合の実質的な利便性はいろいろあります。
その代表的なものに資源の共有化が挙げられます。ネットワークにおける資源には、データやプログラムなどソフトとしての資源や、
周辺機器などハードとしての資源が存在します。
LANにおいては、接続された1台のパソコンに入力された情報を、許可を得ている誰もがいつでも自由に参照することが可能となります。
たとえば、社内で活用する顧客情報を例にとってみましょう。
この情報は営業部のみならず経理部でも、製造部門や製品の配送に関わる物流部門でも必要となるはずです。
社内にネットワークが存在しない場合はこれらの情報は別々に持つ必要があり、もしこの顧客情報に変更追加があった場合には、
別々に管理されているすべての情報を1つ1つ更新していく必要があります。
しかし、この情報をサーバに接続されるハードディスクによって管理すれば、営業部が顧客情報を最新のものに書き換えたとすると、
この最新情報はそれ以後参照する別の部署でも即座に知ることが可能となります。
また、情報以外にも、頻繁に使うプログラムの実行ファイルを共有するという利用方法もLANでは一般的です。
現在のアプリケーシンソフトは、数十MBから数百MBといった大きな容量を必要とするものも少なくありません
が、これを各パソコンにそれぞれインストールするよりも、1台のパソコンにインストールし、接続される他のパソコンからこのソフトを立ち上げて
活用することで、ハードディスク容量をかなり節約することができます。
(原則として、複数のパソコンから活用するためのアプリケーションソフトは、同時に起動されるパソコンの台数に対応した製品を購入する必要があります)。
情報(データやプログラム)を一元管理することにより、最新情報の共有、情報管理コスト(人件費など)の削減、ハードディスクなど記憶容量の
有効活用が可能となるわけです。
次に周辺機器の共有について説明します。
通常LANにおいては、CD-ROMやハードディスク、ネットワークプリンタなど、ネットワーク上に接続される周辺機器を簡単に共有することが可能となります。
たとえば、CD-ROMやプリンタを持たないネットワークに接続されるパソコンでは、CD-ROMからプログラムをインストールしたり作成した
文書を印刷する必要性がある場合、このパソコンが単体の1台であればそのたびCD-ROMドライブやプリンタを接続する必要があります。
しかし、ネットワークに接続されているクライアント機であれば、サーバなどで持っているCD-ROMやネットワ-ク上のプリンタなどを自分のマシンに
接続された周辺機器と同様に活用することが可能となります。
パソコンなどを多くの人が活用するようになるに従って、周辺機器もまた増やす必要が生じたといった問題も、LANによってネットワーク化することで
簡単に解消することができ、設備にかかる費用を低減することができます。
ピア・ツー・ピア型 LAN
ピア・ツー・ピアのピア(peer)とは、「対等」や「同等のもの」という意味です。
この意味の示すとおり、ピア・ツー・ピア型ネットワークは、ネットワーク上に接続されるコンピュータがすべて対等の立場にあるものです。
したがって、サーバとクライアント、つまりサービスを提供する側とサービスを受ける側の立場の違いはありません。
よって、ネットワークに接続されるどのコンピュータもクライアントマシンであるとともにサーバマシンでもあることになります。
たとえば、ピア・ツー・ピア型で接続されている3台のパソコンA、B、Cがあるとします。仮にパソコンAがパソコンCのプリンタを使用して
文書の印刷を行う場合、パソコンAはクライアントとなり、パソコンCはプリンタサーバとなります。また、パソコンCがパソコンBのハードディスクの
内容を参照する場合には、パソコンCがクライアントとなり、パソコンBはファイルサーバとしての役割を果たします。
ただし、作業の依頼を受けたパソコンは、その相手があらかじめ使用許可している相手であれば、その際自分の処理をしていたとしても同時に
サーバとして働く必要があるため、処理速度は一時的に低下することがあります。
その一方で、サーバ専用機が必要ないため、クライアント/サーバ型から比べれば安くLANを構築できるといった利点があります。
クライアント/サーバ型 LAN
ピア・ツー・ピア型が、つながれるコンピュータのすべてが同等な立場にあるネットワークであるのに対して、クライアント/サーバ型は接続される
コンピュータがサーバの立場をとるものと、クライアントの立場をとるものとに分類されます。
クライアント/サーバのサーバ(server)とは、サービスを提供する側の立場をとるものであり、クライアント(client)とは、
サービスを受ける立場にあるものをいいます。
これを店にたとえるならば、店を構えてサービスを提供するものがサーバであり、その店を訪れてサービスを受けたり物を購入したりする
消費者がクライアントに該当します。
クライアント/サーバ型は、これら異なる立場の両者によって構築されるネットワークなのです。
サーバの種類や台数などはネットワークの規模や目的などによって異なります。
1台のサーバ専用コンピュータやパソコンに複数のサーバ機能を持たせることも、これら複数のサーバ機能を別々のサーバ専用コンピュータに
持たせることも可能です。
クライアント/サーバ型とピア・ツー・ピア型の最も大きな違いは、ネットワークの管理形態とネットワークの拡張性にあります。
ピア・ツー・ピア型の場合はつながれるコンピュータのすべてが同等の立場にあるため、このネットワークを統括管理するものが存在しませんが、
クライアント/サーバ型では、サーバによってネットワーク自体を管理することが可能となります。
ネットワークを管理する人間を割り当てれば、つねに快適な状態でネットワークを運用することが可能となり、各情報のセキュリティ面でも、
どのユーザにどのような情報を参照させるかなど、管理者による利用許可の制限(アクセス権の制御)ができます。
また、ネットワークの拡張性については、ピア・ツー・ピア型の接続台数が数台から十数台(40~50台程度までは可能です。
しかし管理者の存在しないネットワークにおいてこの台数での実質的運用は不可能です)
であるのに対して、クライアント/サーバ型は、数百台という規模のネットワーク構築が可能であり、広域ネットワーク(WAN:WideAreaNetwofk)
としてLAN同士を接続した場合は、数千、数万台といった非常に大きなネットワークを構築することが可能となります。
サーバを構築する際の知識や、クライアントをネットワークに接続する際の設定などはピア・ツー・ピア型のそれと比べて難解な部分もあることは確かです。
しかし、管理者のもと、安全でかつ安定した運用を行う必要のある企業においては、このクライアント/サーバ型のネットワーク構築が必要不可欠となっています。
クライアント/サーバによる情報や周辺機器の共有
サーバ専用機はクライアントA
からの要求に応えて文書を印刷 サーバ専用機はクライアントB
からの要求に応えて情報を渡す
プリンタ サーバ専用機
クライアントAはサーバ クライアントBはサーバ
専用機に文書印刷を要求 専用機の情報を要求
クライアント機とサーバ機の役割は明確に分かれている。
この例では、サーバ機が、ファイルサーバとプリントサーバ
双方の機能を受け持っている
ピア・ツー・ピア型のLANは、4~5台の小さなLANの構築には適したものといえますが、クライアント/サーバ型のようにサーバ専用機によって
強固なセキュリティ管理を実現することができないという弱点を持ちます。
また、互いの周辺機器や情報を共有する場合には、接続する相手のパソコンが起動している必要があります。
Windowsなどの最新OSでは、ピア・ツー・ピア型によるLANの構築時の設定は実に簡単に行うことが可能です。
特別の知識を持たないユーザであっても、パソコン同士の物理的な接続が完了してしまえば、簡単にピア・ツー・ピア型のLANを構築できるのも
大きな特色の1つといえるでしょう。
3層クライアントサーバシステム (Three tier client server system)
通常のクライアント/サーバシステムでは、クライアント数が増えたり、ネットワーク規模が大きい場合には、サーバへの負荷がかかり
システム全体の性能が落ちるという問題が発生する場合があります。
このことから、サーバの負担を分散するために、サーバとクライアントの中間にアプリケーションサーバ(Java EEなど)を置く3層クライアント/サーバ
という考え方があります。
この3層クライアント/サーバシステムでは、データの入出力を担当する「プレゼンテーション層」、データの加工処理を担当する「アプリケーション層」、
データの管理を担当する「データ層」と、論理的な3階層に分けます。
クライアントはデータの入出力と表示に専念し、サーバはデータの管理に専念し、アプリケーションサーバはデータの処理加工に専念することにより、
レスポンスタイム(応答時間)が早くなるというメリットがあります。
またデータの処理方法が変わった場合でも、アプリケーションサーバのプログラムだけを変更すればよいので、拡張性や柔軟性に富んだ
システムにすることができます。