ビタミン事典
vitamin | 主なはたらき | 不足すると | これを食べよう | こんなとき、こんなあなたに |
A (脂溶性) |
目のビタミンとして有名。 目の暗調節に作用する蛋白質はAを含む。 色彩もAと蛋白質に複合体が関わる。 上皮組繊を正常に保つ。歯や骨の成長に関わる。 |
夜、目が見えにくくなる。 (夜盲症) 目が乾く。(眼球乾燥症) 皮膚や粘膜上皮の乾燥や角化。 |
ニンジン、ピーマン、 カボチャ、ブロッコリー、 ホウレンソウなど緑黄色野菜 うなぎ、レバー、卵黄、 牛乳、バター、チーズ、 とうがらしなど |
Aが不足すると細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まるため、 乳幼児には欠かせない。 もちろん日頃病気にかかりやすいとういう人にも。 暗闇で目が順応するのに時間がかかるといつ人は是非。 最近の動物実験では、Aが不足すると精子が作られないという 結果がでており、不妊との関係にも注目。 |
B1 (水溶性) |
糖質の代謝を助け、糖分をエネルギ一に代える。 神経機能を正常に動かす。糖分や炭水化物の 摂取が多いと不足気味になる。 (別名チアミン) |
糖質が分解できず、 疲労が体に蓄積する。 イライラ、怒りっぽい、 情緒不安定、脚気。 |
豚肉、胚芽、豆類、 グリーンピース、カボチャ、 インゲン、落花生、海苔、 胡麻、レバー、ニンニク |
ストレスを感じる人は、エネルギーが足りなくなると 中枢神経が機能しなくなり、 ストレスがさらにたまる。 中枢神経は糖分だけをエネルギーとする。 また脳の中にはB1が不足すると代謝しにくくなる物質が多く、 神経疲労が増加する。 |
B2 (水溶性) |
酸化還元反応をもつ酵素仁関与し、 体内の栄養素の代謝に反応して発育・ 成長を促進する。 脂肪を代謝し過酸化物質を取り除く。 (別名リボフラミン) |
目の充血、異物感、 疲れ目。 口内炎、唇の荒れ。 疲労、倦怠感。 発育不全。 |
チーズ、食パン、牛乳、 レバー、卵黄、納豆、 ホウレンソウ、コマツナ、 インゲン、肉類 |
脂質の吸収に作用し、脂肪をエネルギーに変えるので ダイエットには欠かせない。 またコレステロール過多の人は、動脈硬化を防ぐために、 種々の血行障害は、血管内の過酸化脂質が遠因となるので、 B2で取り除き、血行を改善する。 |
パントテン酸 B5 (水溶性) |
糖分、脂肪、アミノ酸の3大栄養素の 代謝に関与する。 神経系や免疫系にも大切。 |
ビオチン同様、腸内細菌で 生成できるので欠乏すること はまず無い。 まれに皮膚炎、臓器障害。 |
ブロッコリー、ざくろ、 玄米、麦、レバー、 牛乳、卵黄、魚、大豆 |
免疫機能が低下する高齢者や妊娠中の女性など。 また、髪の栄養状態に関わると言われ、ツヤが無い、 薄くなったなど、頭髪で悩んでいる人は是非。 |
B6(水溶性) | 蛋白質の代謝に不可欠。 蛋白質に含まれるアミノ酸を作り、 また分解する補酵素となる。 脳機能の維持や抗アレルギー作用もある。 (別名ピリドキシン) |
肌荒れ・ニキビなどの皮膚炎、 口内炎、口角炎、貧血、 けいれん、ジンマシン、湿疹 ※現代の食生活では 欠乏症はまずありえない。 |
アボガド、トウモロコシ、 麦、卵、牛乳、 豚・鶏肉、レバー、 魚、大豆、インゲン豆 |
妊娠中のつわり対策に。つわりはアミノ酸の一種、 トリプトファンの代謝に異常が生じるためといわれる。 また肝硬変の遠因となる脂肪肝を取り除き予防するので 酒豪はとくに摂取が必要。 インシュリンの働きを活発化させるので糖尿病予防にも。 |
葉酸 B9 (水溶性) |
細胞分裂や遣伝をつかさどる 核酸の代謝に関与する。 赤血球の製造にも関わる。 (別名フォラシン) |
B12同様の悪性貧血 精神障害も指摘される。 またCが欠乏しているとき 葉酸をとっても効果が薄い。 |
オレンジ、バナナ、いちご ホウレンソウ、コマツナ などの緑黄色野菜、 牛乳、レバー、卵黄、豆 |
貧血の点ではB12と同じだが、B、2の欠乏が成人に顕れるのに対し、 葉酸の欠乏は子供に多い。 また胎児や乳幼児で欠乏が激しいと脳が奇形すると言われるので 妊婦にはとくに必要。 |
B12(水溶性) | 脂肪やアミノ酸のほか、DNAの代謝に関わり、 正常な赤血球を生成する。 また神経系にも関与する。 (別名コバラミン) |
悪性の貧血になり、 子供より成人に多い。 通常の貧血症状のほか、 倦怠感や頭痛にも。 |
牛乳、チ一ズ、魚介類 がポチャ、レバー、肉類、 |
貧血がちな人、とくに女性。 鉄分の他にB12の不足にも気を配ったほうがいい。 B12は胃酸によって胃液中の因子と結合し、 回腸から吸収される。 そのため胃を切除した人は積極的な摂取が必要。 |
C (水溶性) |
蛋白質の30%を占め、骨を形成し 細胞と細胞をつなぎとめるコラーゲン の生成に関わる。 ウイルスの働きを弱め、鉄分の吸収を高める。 発癌性物質の抑制にも有効といわれる。 (別名アスコルビン酸) |
貧血、皮下出血、骨形成不全、 成長不良壊血病。 |
オレンジ、レモン、イチゴ などの果物、芋類、煎茶 ブロッコリー、カボチャ、トマト、 芽キャベツ、ホウレンソウ パセリなどの緑黄色野菜、 |
まず妊婦。鉄分を良く吸収するため、胎児の骨の発育に。 煙草を1本吸うと25mgのCが失われるので、 愛煙家は人一倍野菜を食べるか禁煙すること。 また腸の乳酸菌はCを栄養として繁殖するため便秘がちな人に。 風邪の初期症状にも有効といわれる。 しかし、風邪薬や解熱剤に多く配合されているアスピリンは Cの排泄量を増加させる。 |
D (脂溶性) |
消化管でのカルシウムの吸収を助け、 体内におけるカルシウム、リンの量と 働きを調節する。 D2とD3に分かれる。 |
骨の発育・生成に影響を 及ぼす。子供ではくる病、 成人では骨軟化症、 老人では骨粗しょう症の遠因に。 |
D2は、干し椎茸、 D3は、いわし、かつお。 全体としては 牛乳、卵黄、バター、 煮干し、魚類、 ※食品からの摂取より 日光による生成の方が多い |
母乳や牛乳にはDが含まれていないので、 乳児の骨の生成のためにDは必須。 食物から摂るのは大変なので、頭や顔への直射日光を避けつつ、 外で遊ばせるように。 むろん妊婦にも欠かせない。 |
K (脂溶性) |
血液凝固、止血作用の補酵素。 一方、通常の血液の凝固を抑える。 またDと同様カルシウムの代謝に関わる。 |
カルシウムの吸収が弱くなる ため、骨粗しょう症の遠因に。 |
紅茶、赤ビーツ、大根の葉、 納豆、チーズ、レバー、 パセリなど緑黄色野菜 |
やはり妊婦。止血作用があるKの欠乏が一因で、 新生児の脳内出血が問題になっている。 また抗生物質がKの働きを阻害し、Kを生成する腸内細菌を 滅らすので、長時聞の服用者は要注意。 |
ナイアシン PP (水溶性) |
糖質と脂肪をエネルギーに変換する。 脳や脊髄、抹消血管などの血行を促進する。 (別名ニコチン酸) |
ペラグラ(荒れた肌)と呼ばれる 皮膚炎につながる。 食欲不振や消化不良など 胃腸に影響も。 |
マッシュルーム、しいたけ トマト、かつお節、米ぬか、 胡麻、煮干し、落花生、 レバ一 |
B2と並ぴ、湿疹などの皮膚疾患を起こしているときは必要。 下痢や食欲不振など胃腸の働きが弱っているときにも効果的といわれる。 |
鉄 Fe (ミネラル) |
細胞内に酵素を運搬し、栄養素を 燃焼させる。 病気に対する抵抗力をつける。 |
鉄欠乏型悪性貧血。 疲労感、虚脱感も。 |
ひまわりの種、りんご酢 にんにく、レバー、 牛乳・チーズなどの乳製品、 ホウレンソウ、はまぐり、あさり |
貧血気味の女性、疲れやすい人は無理にでも。 リウマチの関節炎、アルコール過多の人、十二指腸潰瘍の人にも必要 |
ビオチン (水溶性) |
アミノ酸や脂肪酸の代謝を促進し、 皮膚を正常に保つ。 神経に関係するとも言われ、 不眠や憂鬱感にも効果ありとされている。 |
湿疹や脱毛。 通常の食生活で欠乏 することはまず無いが、 卵白(アピジンという蛋白質) を摂りすぎると皮膚の異常が 起きたという動物実験の例も。 |
動物の内臓、牛乳、 酵母、ナッツ、果物 |
不眠や、鬱病などに悩んでいる人には効果的。 また、人間は腸のなかでビオチンを作り出しており、 抗生物質を常用していると腸内細菌の繁殖が妨げられ 欠乏する恐れがある。 |
β-カロチン (脂溶性) |
夜間の視力の維持。 皮膚や粘膜の健康維持を助ける。 肌の奥の隠れジミ(シミ予備群)を減らす。 |
暗いところでの視力低下に つながる。 免疫力が低下し、風邪を 引きやすくなる。 口内炎の原因となる。 |
ニンジン、ホウレンソウ、 カボチャ、パセリ、シュンギク、 ニラ、ダイコン、カブ、コマツナ、 シソ、トウガラシ 油と一緒にとると 吸収がよい |
体内でビタミンAに変換されるので 視力の維持や、皮膚や粘膜を丈夫にする働きがある。 免疫力を高める働きもあり、動脈硬化や 心筋梗塞、がんなどの予防に効果がある。 また老化の予防にも効果があるといわれている。 |
E (脂溶性) |
過酸化脂質を生む不飽和脂肪酸 への抗酸化作用があり、老化防止の ビタミンとして知られる。 また血行を良くし、肌の色つやを改善。 血液中の中性脂肪を減らす。 |
肌の寒さに対する抵抗力 を弱め、しもやけ、冷え性、 シミにつながる。 潜在的欠乏が成人の動脈硬化 の原因の一つともいわれる。 |
煎茶・抹茶、マーガリン、 植物油、小麦胚芽、 米ぬか油、アーモンド などのナッツ類、たらこ |
高齢者のビタミン、女性のビタミンと言われる。 B2同様、動脈硬化が心配な人には善玉コレステロールを増やす 働きがあり、善玉は動脈の内側にこぴりついている悪玉コレステロールを 流して肝臓に戻す。 エアコンによる夏場の冷え性、乾燥する冬場にひび、あかぎれなどに 悩む人に。肌にシミが目立ってきた場合にも有効。 |
カルシウム (ミネラル) |
歯や骨の発育を促し、骨の濃度を高める。 筋肉細胞がリラツクスしたり緊張したりするの をコントロールする。 |
骨が脆くなり骨粗鬆症の 遠因に。 爪が脆く割れやす<なる。 また高血圧症の患者の食事を 調べるとカルシウム不足が多い ことが判明している。 |
牛乳、チーズなどの 乳製品、小魚、海草、 ちりめんじゃこ、アーモンド、 胡麻、カブ、コマツナ |
正常な発育のために子供は絶対に。 月経が重くて悩んでいる女性にも。 月経の始まる3日前くらいから痛みの激しくなる女性は 豊富に摂るよう。 また高血圧症の中・高年にも。 日頃、ささいなことでイライラしたり神経質になりやすい人は是非。 |
マグネシウム (ミネラル) |
カルシウムを拮抗する。 糖を代謝し、とくに心臓など激しい動きをする 臓器のエネルギーとなる。 |
心臓のエネルギーが弱まるので、 狭心症や心筋梗塞などの発作に つながる。 また神経が興奮しやすくなる。 |
穀類、そば、ごぼう、 アーモンド、胡麻、大豆、 干しヒジキ、ドライプルーン |
基本的に、慢性的な下痢に悩む人は、カルシウムやマグネシウムなど ミネラル類を豊富に摂ること。 慢性の便秘も同様。 ピルを服用している女性にも。 心臓が弱っている人は有無を言わずに。 |
カリウム (ミネラル) |
身体内の水分のバランスを調節する。 尿と一緒に、体内の余分なナトリウムを排泄し、 血圧低下に役立つ。 |
体内のナトリウムが増加しすぎて 高血圧症などの成人病を招き、 脳卒中につながる場合も。 |
オレンジ、バナナ、スイカ などの果物、ホウレンソウ、 ニラ、シュンギクなどの緑黄色 野菜、山芋、アズキ |
胃潰瘍の人はカリウムを積極的に摂ることをお勧めする。 |
<たんぱく質>
三大栄養素の一つ。体を構成する成分として重要。筋肉、各臓器、血液、皮膚や酵素、 ホルモンの主成分。
(動物性たんぱく質) 肉や魚、卵などのたんぱく質。良質なものが多い。
(植物性たんぱく質) 大豆や豆腐などの豆製品や穀物に含まれる。動物性たんぱく質と一緒にとることで、質がよくなる。
<脂質>
三大栄養素の一つ。持続性のエネルギー源になるほか、細胞組織に組み込まれ、 胃や腎臓など内臓を包み守ったり、体温を保つ。
脂質は、植物油やバターなどの油脂類や調味料やチーズ・生クリームなどの乳製品、肉・魚、ナッツ類やスナック菓子など、さまざまな食品に含まれており、
とりすぎは中性脂肪、LDLコレステロール過剰をもたらし、肥満や高血圧、高血糖、動脈硬化を招くことになる。
コレステロールの吸収を抑える食物繊維を多く含む野菜(ごぼう・切干大根・西洋かぼちゃなど)、カリウムを多く含む野菜(ホウレンソウ・ニラ・シュンギクなど)、
また緑黄色野菜(トマト・赤ピーマン・ニンジン・コマツナ・ブロッコリー・ピーマンなど)を十分にとることが大切。
<糖質>
炭水化物ともいわれる。エネルギー源の中心。
体内に入るとブドウ糖に変わりエネルギー源として使われ、 余分はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯えられる。
これ以上のブドウ糖は脂肪にかわり、皮下脂肪となる。
なお、脳のエネルギー源は糖質のみである。主食や芋などの主成分。
<食物繊維>
人間の消化酵素では消化されない食べ物のカス。
胃で水分を吸収し、満腹感を与え食べ過ぎを防いだり、腸内では便のカサを増やし、 腸を刺激することで便秘を防ぎ、
血中ではコレステロールの吸収を妨げる、等の効用がある。根菜類やきのこ、海草類に多い。
<コレステロール>
主に肝臓で合成されている。
HDL(善玉)とLDL(悪玉)に分けられる。
善玉は動脈硬化を抑制し、悪玉は動脈にコレステロールを沈着させるため、 動脈硬化や血栓をつくる原因になる。
<動脈硬化>
新鮮な血液を各組織に運ぶ動脈の壁にコレステロールが沈着して狭くなったり、硬くなり、もろくなる病気。
高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病、通風、たばこ、ストレス、運動不足、遺伝などが危険因子。
<骨粗しょう症>
骨のカルシウムが減少し、骨がカスカスになる病気。
カルシウムの不足、運動不足、 加齢に伴う骨代謝のバランスのくずれによる。
特に女性は閉経後、女性ホルモンの働きの低下により骨のカルシウムが失われやすいため、
男性よりかかりやすい。
<痛風>
痛風の原因は、体内の老廃物の尿酸。
血液中の尿酸の濃度が上昇すると、結晶化して足の親指付け根などの関節にたまり、痛風発作と呼ばれる炎症を起こして激しく痛む。
痛風の予防
(1)肉類や脂っこいもの、また甘いものを食べ過ぎず、野菜・果物を含むバランスのとれた食事をすること
(2)酒などは適量に、原則的に禁煙
(3)運動不足の解消、歩くこと
(4)ストレス解消、そのために適当な趣味や娯楽を持つこと
(5)時々、尿酸の検査をして貰うこと。