数多くのアイドル、タレントを輩出した伝説の番組 「スター誕生!」 略して 「スタ誕」。
1971年10月放映スタート。視聴率的には鬼門とされる日曜午前11時開始。
初回の視聴率は4.7%と、かなり低めの数字からのスタートであった。
しかし、回を重ねるごとに視聴者の反響が高まり、半年後には20%台を記録する人気オーディション番組に成長した。
当時 「NHKのど自慢」 はじめ、素人参加のオーディション番組はいくつかあった。
しかし 「スタ誕」 が画期的であったのは、予選から本選まで、オーディションの全行程を一般公開していたことであった。
客席にレコード会社や芸能事務所のスカウトマンが参上し、その場でプラカードを揚げて契約したい 「アイドルの卵」 を指名する。
まさに 「ガラス張り」 の選考過程であった。
ここで最終的に優勝者を決定するのは、審査員ではなく 「スカウトマン」 なのである。
歌唱力がいくら優れていても、プロとして売れそうもない人は不合格となる。
歌は多少おぼつかなくとも、笑顔が可愛かったり、存在感があればアイドルになれる。
「歌唱力よりもキャラ優先」 すなわち 「アイドル」 の概念そのものも 「スタ誕」 と共に誕生したと言える。
スーパーアイドル・デュオ 「ピンクレディー」 もこの番組から誕生した。
デビュー当時の 「ピンクレディー」 と言えば、露出の多い衣装にセクシーダンス。
また意味深な芸名といいデビュー曲といい、いわゆるキワモノ扱いであった。
B級アイドル臭さがプンプンしていて、音楽評論家の誰もが 「一曲だけで消える存在」 と踏んでいたという。
ところがデビュー翌年の4thシングル 「渚のシンドバッド」 がミリオンヒット。
オリコンチャートにおいて8週連続一位という快挙を達成。
振付けが斬新でわかりやすいこともあって、ピンクレディーの人気は、小中学生から老若男女すべての世代に波及。
これ以降彼女たちはメジャー歌手として国民的アイドルへの道を驀進することになる。