8月19日    丹下左膳余話 百萬両の壺   1935年(昭和10年)      邦画名作選
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百万両の隠し場所がぬりこめられた「こけ猿の壺」。

財政難に苦しむ柳生藩主対馬守は、壺の秘密を知らされて驚く。
が、壺はすでに弟源三郎の婿養子の引き出物として譲ってしまっていた。

そんな事情を知る由もない源三郎の妻は、その壺をくず屋に売ってしまう。
巡り巡って壺はチョビ安という男の子の金魚鉢に収まっていた。

そのチョビ安をひきとったのが、矢場の居候をする丹下左膳だった。
かくして百万両の壺を巡り、様々な回収作戦が始まるが…。


殺気あふれるニヒルな剣豪・丹下左膳を大胆なパロディにしてしまった山中貞雄監督の傑作人情喜劇。
原作者の林不忘未亡人が、イメージが違いすぎると抗議して話題になったいわくつきの作品である。

主君の裏切りで右目と右腕を失った丹下左膳は、侍の身を捨て矢場の用心棒に収まっている。
ひょんなことから「こけ猿の壺」を手に入れた左膳だが、百万両にはさほど興味を示さない。

矢場の女将・お藤(喜代三)の亭主よろしく、昼間からごろ寝をしながら酒を楽しんでいる。
この主演の二人の軽妙なやりとりが実に絶妙で、ホームドラマのような味わいを見せている。

一方、昼間から浮気にいそしむ道場主(沢村国太郎)その浮気亭主に悩まされる妻(花井蘭子)
など、ユニークな脇役陣の配置に、山中貞雄監督の腕の冴えがいかんなく発揮されている。


  製作  日活
  監督  山中貞雄

  配役 丹下左膳 大河内伝次郎   お久 深水藤子         荻野    花井蘭子 
  お藤 喜代三   柳生源三郎 沢村国太郎         チョビ安    宗春太郎 

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