ドイツ、バイエルン地方の山間に佇む白亜の城。
重厚かつ壮麗な佇まいは、雪景色と相俟って中世のメルヘンの世界を彷彿とさせる。
19世紀、建築好きの国王ルートヴィヒ2世が幻想趣味を駆使して建てたもの。
城の名は、ワグナーのオペラ「ローエングリン」の白鳥伝説に由来する。
だが城の美しさとは裏腹に、王の数奇な狂気に満ちた生涯は、シュタインベルク湖での
王の謎の死に至るまで、今もって多くの人の関心を集め、多数の書物に語り継がれている。
当時、普墺戦争の戦費負担で、バイエルン政府の国庫は大いに傾いていた。
危機感を募らせた政府は、病気を理由に、王をベルク城に軟禁してしまう。
その後、王はシュタインベルク湖で水死体となって発見。死因は謎のままとなった。
そして、いつの頃からか城に、王ルートヴィヒ2世の幽霊が出ると噂されるようになる。
ある日、城を見学していたドイツの13歳の少女エリザベータは、母親とはぐれてしまった。
幸い無事発見されたが、発見現場は車で3時間もかかるベルグ城の近くであった。
不審に思い尋ねてみると、彼女は次のようなことを話したのである。
彼女が、城の王の書斎に入った時、誰かが彼女の肩をたたいたので振り返った。
するとそこには、王の肖像画そっくりの人物が立っていた。
驚くエリザベータだったが、誘われるまま王の弾くピアノを聴いていた。
すると突然乱入した兵隊たちに捕えられた王は、殺害され、どこかへ連れ去られたという。
そしてエリザベータは意識を失い、気が付くと湖畔のベルグ城の前に立っていたという。
その後も城の中で、王の姿を見たという目撃者が後を絶たない。
このメルヘンチックな城は、時に、異次元空間への扉を開くのであろうか。
城へのアクセスは、ミュンヘン中央駅からホーエンシュヴァンガウ(Hohenschwangau)まで車で2時間。
ホーエンシュヴァンガウから城門の近くまで、観光用の馬車で20分ほどで到着する。
(Schloss Neuschwanstein Str.20 87645 Hohenschwangau, Germany)