12月5日 バイキングたちの食事 (The Vikings' meal)
バイキングとは、航海による交易を職業とする北欧民族である。
彼らは武装して交易活動を行っていた。
中世の遠隔地交易は危険が多く、商談が決裂した場合などは、
争い事や略奪に発展することもあったからである。
船に積む食料は、長い航海に耐える日持ちのよい食材が選ばれた。
主な食材は、乾パンに干し肉、干しタラ、そしてビールとラム酒である。
スカンディナビアの特産である干しタラは、貴重な交易品の一つでもあった。
干しタラは当時、最も長く保存可能な蛋白源であり、夏場の地中海を
航海しても腐らない食材は唯一干しタラであった。
バイキングたちの、もうひとつの蛋白源はウミガメだった。
陸に上がったウミガメは緩慢で彼らの格好の獲物となった。
ウミガメは生きたまま船内に持ち込み、甲羅を下にしてひっくり返しておき、調理の直前にさばいたのである。
また船上では、真水は腐りやすいため、ビールが飲料水だった。
乾パンや干し肉は、ラム酒に浸してやわらかくして食べた。
ラム酒は出航前に、あらかじめレモン汁が加えられていた。
これは長い航海による栄養失調を防ぐためであり、バイキングたちにとって貴重なビタミン補給源となったのである。