オデュッセイア (Odysseia)  (11)   イリアス & オデュッセイア
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王女ナウシカ (その3) (Nausicaa)

恐ろしいキュクロプスの島での出来事、キルケの怪しい魅力、セイレン達、ヘリオスの島での出来事・・・。
人々は固唾を飲んで話に聞き入った。

宴席が終わったあと、オデュッセウスは、中庭の柱の影にたたずむナウシカと再会した。

ナウシカは都の入口で別れて以来、一度もオデュッセウスと逢うことはなかった。
しかし、侍女達からオデュッセウスの事はすべて聞いていた。

アルキノオス王が、彼をナウシカの婿にと望んだことも、彼がそれでも帰国を望んだことも。

彼女は哀しみを抑えて、彼に別れの挨拶をした。
「国に帰られても、私のことを忘れないで下さい」彼女は潤んだ瞳で彼を見つめながらそう言った。

「忘れるものですか、美しく心優しいナウシカ、神にかけて私は誓います。
どんなことがあっても、私はあなたのことを敬い続けます」

オデュッセウスはナウシカの慕う心に気づいていたが、この汚れない娘をこれ以上傷つけたくなかったので、ただ儀礼通りの礼の言葉を残して立ち去った。

翌朝アルキノオス王とファイアケスの人々は、多くの贈り物を用意し、選りすぐりの若者を漕ぎ手とした船を、オデュッセウスのために準備してくれた。

船はオデュッセウスを乗せて、夕刻ファイアケス島を離れ、夜明け前に故郷イタケに着いた。
船乗り達は、心地よい眠りを貪っているオデュッセウスをそっと浜に揚げ、そのまま立ち去った。


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