8月24日 イリアス(Iliad)(11) イリアス & オデュッセイア |
プリアモス王(King Priamos)
アキレウスの奮戦に、トロイ勢は雪崩をうってトロイ城壁に逃げ込んだが、ヘクトルだけは城壁に入ろうとしなかった。
彼は今度こそアキレウスと雌雄を決するべく、あえてトロイ城壁の中に入ろうとしなかったのである。
これを見たアキレウスは狂気乱舞してヘクトルとの一騎討ちに臨んだ。
ヘクトルとアキレウスはトロイの城壁をぐるぐる回りながら一騎討ちを続けたが、やはり不死身の肉体を持つアキレウスがじりじりとヘクトルを押していった。
ヘクトルは一気に戦いの決着をつけるべく槍を投げつけた。
しかしアキレウスを直撃した槍はあっけなくポキリと折れてしまった。
両者の間合いは詰まり、もはや逃げることはかなわない。
「もはや是非もない。無様な死に様だけはさらすまい」
ヘクトルは覚悟を決めると、剣を抜きつつアキレウスのほうへ突進した。
一方、アキレウスは、何度も身につけたことのある自分の鎧の弱点をよく知っていた。
それは、鎧に覆われていない首の部分であった。
アキレウスはここぞとばかりに槍を投げつけ、槍はヘクトルの首を貫いた。
アキレウスはヘクトルの死骸から鎧を剥ぎ取り、彼の死骸を自分の戦車につないでトロイの城壁をぐるぐると引き回した。
しばらく後、ヘクトルの老父プリアモス王は、ヘルメスに案内されて無事アキレウスの陣屋まで訪れると、彼に息子の死体を返してくれるように嘆願した。
アキレウスは,父親が息子を思う心に強く感動したので、怒りを解いてヘクトルの死体をトロイ方へ返すことを了承した。
こうしてヘクトルの死体はトロイ城内に運び込まれ、ここで盛大な葬式が行われたのだった。