イリアス(Iliad)(3) イリアス & オデュッセイア |
アキレウス (Achilles)
数々の苦難を乗り越え、ギリシア連合軍はようやくトロイ近くの海岸にたどり着いた。
しかしそこにはトロイ勢が待ち構えていた。
最初の上陸者であるプロテシラオスは、物陰から襲い掛かってきた名もない一兵卒の槍に倒された。
次に地上に降り立ったのはアキレウスだった。
彼は待ち構えていたトロイ勢を撃退し、味方の上陸を助けた。
そのアキレウスの前にトロイ側の武将キュクノスが立ちはだかった。
海神ポセイドンの息子であるキュクノスは、不死身に近い体をもち鉄でも青銅でも傷つけることが出来なかった。
そこでアキレウスは大石を彼の頭に投げつけて地上に打ち倒した。
キュクノスが倒されたことにより恐れおののいたトロイ勢は、城壁の中へと逃げ去って行った。
その間にギリシア軍は浜辺に船を引き上げ、その周囲に小屋を建て壁を築いて陣営とした。
ギリシアとトロイ勢はスカマンドロスの河畔、それにつらなる平原での攻防を繰り広げたが、トロイの城壁は堅く周辺の国々からの援軍も加わり九年の歳月が過ぎていった。
ギリシア軍はその九年の間、周辺の国々や都市を幾度となく襲い、物資の補給や金品の強奪、女たちを奴隷としながらトロイと対峙していた。
多くの戦利品は例によって総指揮官のミュケナイ王アガメムノンのものとなった。
アガメムノンが自分の奴隷として選んだ女の中にクリュセイスという若く美しい娘がいた。
彼女は太陽の神アポロンの神官で社会的地位も高く、裕福なクリュセスの娘だった。
また捕虜の中にプリセイスという若い女がいた。
アキレウスは戦闘が終わり自分の分け前として彼女を奴隷にした。
アキレウス Achilles
英雄ペレウスと海の女神テティスの子。ゼウスのひ孫にあたる。
容姿は、金髪、碧眼、薄い唇の美男子で、剣、槍、弓矢の腕にも優れていた。
また、「駿足のアキレウス」とも呼ばれ、父から譲り受けた馬、バリオスとクサントスを除いて、どんな馬よりも速く走れた。
幼い頃、母テティスによって冥界の河ステュクスに浸され、母の手の指がつかんでいた踵の部分以外は、皮膚がどんな鎧よりも丈夫になり、人間の武器では傷つけられなくなったという。