アルベール・プレジャン(Albert Prejean)

生年月日 : 1894/10/27
出身地 : フランス/パリ
没年 : 1979/11/01

1921年、アンリ・ディアマン監督の「三銃士(Les Trois Mousquetaires)」で映画デビュー。
1923年、ルネ・クレール監督に見いだされ「眠るパリ(Paris Qui Dort)」に出演。

1930年、同じくルネ・クレール監督の「巴里の屋根の下」に出演して一躍注目される。

「巴里の屋根の下」では、街の艶歌師に扮して、映画史上初の映画主題歌を歌い、
歌える映画俳優として人気を集めた。

その後も「掻っ払ひの一夜 1930」「商船テナシチー 1934」など、数々の名作に出演、
押しも押されぬフランス第一の人気スターとして活躍した。




代表作品

      巴里の屋根の下(Sous les toits de Paris)1930年(仏)

パリの下町。自作のシャンソンを街角で歌う青年アルベール(プレジャン)とその楽譜を売る親友のルイ。
二人はある日、町の娘ポーラが町のボスに絡まれているのを助ける。

アルベールはポーラに恋をするが、彼はチンピラから預かった盗品で誤解を受け警察に留置されてしまう。
彼が出所してくると、ポーラはルイと深く愛し合うようになっていた。

主人公の青年アルベールは、失恋してしまうのだが、さほど深刻でなく、相手が親友であれば仕方がないといった、
パリジャンらしい軽い諦めを持つといった気分が現れている。彼が裏町で歌う主題歌のシャンソンも大ヒットした。

(監督)ルネ・クレール(Rene Clair)
(出演)アルベール・プレジャン(Albert Prejean)ポーラ・イレリ(Pola Illery)
 
       
                                             巴里の屋根の下(Sous les toits de Paris)
       
      懐かしの 想い出に さしぐむ涙  懐かしの 想い出に あふるる涙
マロニエの花咲けど 恋し君いずこ

巴里の屋根の 下にすみて 楽しかりし 昔   燃ゆる想い 愛の言葉 優しかりし きみよ
鐘は鳴る 鐘は鳴る マロニエの 並木道   巴里の空は 青く晴れて 遠き夢を ゆする

作詞:ルネ・ナゼル(Rene Nazelles) 作曲:R・モレッティ(Raoul Moretti)
訳詞:西条八十  歌:北谷和子
       
       
    商船テナシチー(Le Paquebot Tenacity)1934年(仏)

パリの失業者バスチアン(プレジャン)とセガールは、新天地カナダで一旗揚げようと港へやって来た。
船を待つ何日かの間、宿の女中テレーズに恋をするセガール。だが内気な彼は、彼女に告白できない。

一方、快活なバスチアンは積極的に彼女にアタックする。その結果、バスチアンとテレーズは結ばれ、
セガールに置手紙を残して、二人はパリへ駆け落ちしてしまう。
失恋したうえに、友に裏切られた善良で心弱いセガールは、傷心のうちに、独り寂しくカナダへ向かう。

1934年(昭和9年)キネマ旬報ベスト・テン第一位に輝いた作品。ちなみに第十位はチャップリンの「街の灯」
深刻な不況の中で軍国主義化が進んでいた当時の日本では、チャップリンの喜劇よりも、ほろ苦い人生哀歌
を描いた本作の方が、庶民の感性に合致したのかも知れない。

(監督)ジュリアン・デュヴィヴィエ(Julien Duvivier)(出演)アルベール・プレジャン(Albert Prejean)
マリー・グローリー(Marie Glory)ユベール・プレリエ(Hubert Prelier)
 
       
       
    ジェニイの家(JENNY)1936年(仏)

ジェニイ(ロゼー)は、娘を成人させるため、密かに売春宿「ジェニイの家」を経営している中年女。
彼女は汚い商売を知られまいとして、娘のダニエルを、ロンドンに音楽留学させる。

その後、ダニエルは金持ちの男と婚約したのだが、婚約を破棄されて実家に戻ってくる。
そして母親の若い愛人リュシアン(プレジャン)と愛し合う関係になってしまう。

母と娘が一人の男をめぐって三角関係になるのだが、日本の昼ドラのようなドロドロの愛憎劇にはならない。
ロゼー演じるジェニイは、母親、そして女としての相克に悩み苦しみ、最後に娘のために身を引くのである。
その複雑微妙な心情を、一つひとつの表情、身振りで醸し出す絶妙な演技に、観る者は惹きこまれる。

(監督)マルセル・カルネ(Marcel Carne)(出演)フランソワーズ・ロゼー(Francoise Rosay)
リゼット・ランバン(Lisette Lanvin)アルベール・プレジャン(Albert Prejean)
       

三銃士(Les Trois Mousquetaires)1921年
眠るパリ(THE CRAZY RAY/PARIS QUI DORT)1923年
イタリア麦の帽子(ITALIAN STRAW HAT/LE CHAPEAU DE PAILLE D'ITALIE)1927年
ヴェルダン/歴史の幻想(VERDUN, VISIONS D'HISTOIRE)1928年
巴里の屋根の下(SOUS LES TOITS DE PARIS)1930年
掻っ払ひの一夜(UN SOIR DE RAFLE)1930年
幻の小夜曲(L' AMOUREUSE AVENTURE)1930年
プレジャンの船唄 (LE CHANT DU MARIN)1931年
トト(TOTO)1934年
商船テナシチー(LE PAQUEBOT TENACITY)1934年
恋愛交叉点(QUELLE DROLE DE GOSSE!)1935年
ジェニイの家(JENNY)1936年
アリバイ(L'ALIBI/THE ALIBI)1937年
署名ピクピュス(PICPUS)1943年
貴婦人たちお幸せに(AU BONHUR DES DAMES)1943年
セシールは死んだ(CECILE EST MORTE!/CECILE IS DEAD)1944年