ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux)
生年月日 : 1917/05/01
出身地 : フランス/ボルドー
没年 : 2017/10/17
1931年、ウィルヘルム・ティーレ監督の「ル・バル」で主演デビュー。
1936年、アナトール・リトヴァク監督の「うたかたの恋」でシャルル・ボワイエと共演。
彼女は悲恋の娘を演じ、そのたぐいまれな美貌が一躍注目された。
以後「背信 1937」「暁に帰る 1938」「赤と黒 1954」他、数多くの作品に出演し、
フランス映画界を代表する美人スターとして活躍した。
上品さとモダンさを兼ね備えた彼女は、その気高い容姿から「フランスの名花」と称された。
代表作品
うたかたの恋(Mayerling)1936年(仏) 古い因習にがんじがらめにされたハプスブルク家の若き皇太子ルドルフ(ボワイエ)は、 その反発からか、女性たちとのスキャンダラスな生活を送っている。 それを喜ばない宰相ターフェは、彼をベルギー皇女と結婚させる。失意の仲、乱行の日々を 送っていたルドルフは、ある日男爵令嬢マリア(ダリュー)と出会い、一目惚れする。 彼女と結婚しようと、皇女との離婚をローマ法王に請願するが、あっけなく却下されてしまう。 二人の恋は実るわけもなく、一緒になる方法はひとつしかなかった。ルドルフがそのことを仄めかすと、 ハッとするマリア、そしてひたむきにうなずく。純愛を貫き通して命を絶った二人の姿が涙をさそう。 (監督)アナトール・リトヴァク(Anatole Litvak) (出演)シャルル・ボワイエ(Charles Boyer)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux) |
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禁男の家(Club de femmes)1936年(仏) 花のパリに、身寄りのない若い女性を救済するための女子寮「禁男の家」が作られた。 厳格な寮長の監視の眼が光って、男子は一歩も踏み入ることは許されない。 しかし不思議なことに、女子寮に収容された若い女性たちが、次々と男に誘惑されて さまざまなトラブルを引き起こしてしまうのだった。 男子禁制の女子寮へ、恋人を女装させて連れ込む跳ねっ返り娘を、ダリューがコミカルに演じている。 だが火事が起こり、女装がばれてしまうのだが、男手の無い寮での一大事に活躍したので無罪放免に。 また売春をあっせんする寮生がいたり、同性愛も描かれるなど、かなり深刻だが、ダニエル・ダリュー あっての映画であり、彼女の存在が、映画そのものを明るくしてしまうという強烈な魅力を発散している。 (監督)ジャック・ドゥヴァル(Jacques Deval)(出演)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux) エーヴ・フランシス(Eve Francis)ヴァランティーヌ・テシエ(Valentine Tessier) |
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背信(Abus de confiance)1937年(仏) 祖母に死なれ、身寄りが無くなった女学生リディア(ダリュー)は、学校をやめて働くことを決心する。 そんな時親友が、とある著名な歴史家の捨て子だと偽り、娘になれと持ち掛ける。リディアは、学業を 続けたいが為に、その話に乗ってしまうが…。 1939年日本公開。ある裕福な家庭に、ダリュー演じる女学生が引き取られて起こる不倫と嫉妬の家庭劇。 だが封切られた作品は、肝心の部分がカットされてしまった。それはダリューが裸になるシーンである。 本作は、彼女の気品あるエロチシズムを堪能するための作品だ。本作に限らず、戦前は心無い検閲により、 多くの作品の重要な場面が削除され、元の作品の味わいは、伺うべくも無くなってしまっているのである。 (監督)アンリ・ドコアン(Henri Decoin)(出演)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux) シャルル・ヴァネル(Charles Vanel)ヴァランティーヌ・テシエ(Valentine Tessier) |
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暁に帰る(RETOUR A L'AUBE)1938年(仏) ハンガリーの田舎駅長の若妻アニタ(ダリュー)は、都会での生活を夢に描いて暮らしてきた。 ある日、ついにニ度と戻らぬ決心を奮い起こした彼女は、家出して都会へ向かう 田舎の駅長の若妻が、都会に憧れて出ていくが、夢はなく失望して帰郷するという話。 21歳の絶頂期のダリューを、ひたすら鑑賞するためだけに制作された作品である。 「今日ダニエル・ダリュー95歳」などと、毎年のようにフランスの新聞紙面を賑わせ、 100歳で世を去るまで現役女優であり続けた彼女は「美人長命」を身をもって示した。 (監督)アンリ・ドコアン(Henri Decoin) (出演)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux)ピエール・デュクス(Pierre Dux) |
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赤と黒(Le Rouge et le Noir)1954年(仏/伊) 貧しい大工の息子ジュリアン(フィリップ)は、持ち前の才気を活かして立身出世を目指す野心家だった。 侯爵家の家庭教師となった彼は、夫人(ダリュー)に思いを寄せ、二人はいつしか人目をしのぶ恋仲に。 ブルジョア(上流階級)という言葉が示すように、フランスは階級社会である。主人公のジュリアンは、 大工の息子という下層階級の青年だ。彼は、持ち前の才気と計算高さをフルに使って社会を這いあがり、 身分違いの恋にも落ちるのだが、結局は階級社会の壁を突破できずに、破滅への道をたどってしまう。 主人公は鼻持ちならない野心家だが、それを気品溢れる美貌のジェラール・フィリップが演じているため、 観客はみな肩入れしてしまうのだ。年上の人妻を演じたダニエル・ダリューも息を呑むほどの熟女振りで、 文芸大作というよりもむしろ極上のメロドラマに仕上がっている。 (監督)クロード・オータン=ララ(Claude Autant-Lara) (出演)ジェラール・フィリップ(Gérard Philipe)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux) |
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忘れえぬ慕情(Typhon sur Nagasaki)1957年(日/仏) 長崎造船所のフランス人技師ピエールは、呉服屋の娘・乃里子(岸恵子)に恋していた。しかし、フランス人女性・ フランソワーズが、パリから長崎にやってくる。彼女は作家で、しかも昔のピエールの恋人だった。 乃里子との純愛に生きようとしたピエールだったが、フランソワーズの誘惑に、旅先で昔のよりを戻してしまう。 ピエールは、優しく謙虚な乃里子と次第に疎遠になっていく。そんなある日、長崎は烈しい台風に襲われる。 フランスから日本へ赴任した造船技師が、可憐な呉服屋の娘に愛情を抱く。だがそこへ元恋人の女流作家が現れて… という三つ巴の色恋沙汰。破格の予算で制作されたクライマックスの特撮による台風シーンは圧巻。 もちろん見どころは、岸恵子とダニエル・ダリューの日仏女優の美の対決。都会的で垢抜けた雰囲気の岸は、 異国情緒豊かな映画がよく似合う。 (監督)イヴ・シャンピ(Yves Ciampi)(出演)ジャン・マレー(Jean Marais) ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux)岸恵子(Keiko Kishi) |
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ル・バル(Le Bal)1931年
吼えろ!ヴォルガ(Volga en flammes)1934年
不景気よさようなら(La crise est finie)1934年
恋愛交叉点(Quelle drole de gosse!)1935年
マドモアゼル・モーツァルト(Mademoiselle Mozart)1935年
不良青年(Un mauvais garcon)1936年
うたかたの恋(Mayerling)1936年
隊長ブーリバ(Tarass Boulba)1936年
禁男の家(Club de femmes)1936年
旅順港(Port-Arthur)1936年
背信(Abus de confiance)1937年
巴里の評判娘(The Rage of Paris)1938年
カチアの恋(Katia)1938年
暁に帰る(Retour a l'aube)1938年
心の高鳴り(Battement de coeur)1940年
モロッコ守備隊(Bethsabee)1947年
ルイ・ブラス(Ruy Blas)1948年
輪舞(La Ronde)1950年
快楽(Le Plaisir)1952年
五本の指(5 Fingers)1952年
愛すべき御婦人たち(Adorables creatures)1952年
たそがれの女心(Madame de...)1953年
赤と黒(Le Rouge et le Noir)1954年
ナポレオン(Napoleon)1955年
チャタレイ夫人の恋人(L'Amant de lady Chatterley)1955年
アレキサンダー大王(Alexander the Great)1956年
忘れえぬ慕情(Typhon sur Nagasaki)1957年
奥様ご用心(Pot-Bouille)1957年
夜の放蕩者(Le desordre et la nuit)1958年
自殺への契約書(Marie-Octobre)1959年
いまだ見ぬひと(Les yeux de l'amour)1959年
45回転の殺人(Meurtre en 45 tours)1960年
女になる季節(The Greengage Summer)1961年
悪い女(Le crime ne paie pas)1962年
フランス式十戒(Le Diable et les Dix Commandements)1962年
青髭(Landru)1963年
二重生活(Du grabuge chez les veuves)1963年
ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort)1967年
哀愁のみずうみ(Vingt-quatre heures de la vie d'une femme)1968年
ペルーの鳥(Les oiseaux vont mourir au Perou)1968年
脱獄の報酬(L'Annee sainte')1976年
都会のひと部屋(Une chambre en ville)1982年
夜を殺した女(Le lieu du crime)1986年
肉体と財産(Corps et biens)1986年
僕と一緒に幾日か(Quelques jours avec moi)1998年
8人の女たち(8 femmes)2002年(ベルリン国際映画祭銀熊賞)
ゼロ時間の謎(L'Heure zero)2007年