ジェラール・フィリップ(Gerard Philipe)
生年月日 : 1922/12/04
出身地 : フランス/カンヌ
没年 : 1959/11/25
弁護士をめざしてニースで法律を学んでいたが、途中で俳優志望に転じ、1942年カンヌの演劇学校に通う。
1944年、マルク・アレグレ監督の「フレール河岸の娘たち」で映画デビュー。
1946年、ドフトエフスキー原作の「白痴」で、主人公ムイシュキン公爵を演じて、人気スターの地位を確立。
以後「肉体の悪魔 1947」「悪魔の美しさ 1950」「愛人ジュリエット 1951」「夜ごとの美女 1952」「赤と黒 1954」
「モンパルナスの灯 1958」他、数々の作品に主演して活躍。
気品を感じさせる優雅な容姿と、繊細な物腰の、フランスを代表する二枚目スターとして、観衆を魅了した。
1959年11月、不幸にも心臓まひのため、36歳の若さで夭逝した。
代表作品
悪魔の美しさ(La Beaute du diable)1950年(仏) 忍び寄る老いに頭を悩ませていたファウスト博士(シモン)の前に、悪魔メフィスト(フィリップ)が現れる。 悪魔は、博士の悩みにつけ込み、魂を売り渡すよう説き伏せ、博士を若く美しい青年の姿に変えるのだった。 ジェラール・フィリップが、黒い髪を耳の上でピンと尖らせたメフィストの姿で登場し「ケケケケ」と、 異様な笑い声を立てるのだが、その美貌に似合わない怪演ぶりには思わず笑ってしまう。 ミシェル・シモンも、最初はヨボヨボの博士だったのが、今度は入れ替わりに愛嬌たっぷりの悪魔に変身し、 楽しそうに演技している様子がよく分かる。二人の知恵比べ、駆け引きがまた面白く、片時も目が離せない。 (監督)ルネ・クレール(Rene Clair)(出演)ミシェル・シモン(Michel Simon) ジェラール・フィリップ(Gerard Philipe) ニコール・ベルナール(Nicole Besnard) |
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花咲ける騎士道(Fanfan la Tulipe)1952年(仏) 十八世紀、ルイ15世統治下のフランス。ファンファン(フィリップ)は、モテモテのプレイボーイ。 そんな彼はある日、軍隊に入る。入隊の理由は、徴兵係の娘アドリーヌのインチキ占いだった。 「軍隊に入れば、王女と結ばれる運命にある」という予言を彼は信じ込んだのだ。 ジェラール・フィリップは、明るく奔放な騎士ファンファン・ラ・チューリップに扮している。 いかにもパリジャンらしい彼のコメディアンの側面を楽しめる作品となっている。 相手役として徴兵係の娘に扮したロロブリジーダは、輝くばかりの美貌とグラマー振りを披露。 本作で一躍注目を集めた彼女は、翌年ハリウッドデビュー(悪魔をやっつけろ 1953)を果たした。 (監督)クリスチャン=ジャック(Christian-Jaque) (出演)ジェラール・フィリップ(Gerard Philipe)ジーナ・ロロブリジーダ(Gina Lollobrigida) |
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夜ごとの美女(Les belles de nuit)1952年(仏) 田舎のしがない音楽教師クロード(フィリップ)は、周囲の騒音で不眠症気味だった。おかげで 念願の作曲コンクールに出品する作品の完成もはかばかしくなく、不満やいらだちが募るばかり。 そんななか、唯一の安らぎは、夜ごと夢の中で現われる美女たちと恋を囁きあうことだった。 主人公は貧乏なピアノ教師で、夢ばかりみている。しかし毎晩夢の中で美女と恋をするという、男だったら皆 見たいような夢ばかりなのだ。さらに夢の中で「昔はよかった」と、つぶやく老人が登場する。 老人がつぶやくと、途端にそのよかった昔にさかのぼり、そこでまた「昔はよかった」と語る老人が登場して、 また時代がさかのぼる。結局、原始時代が一番よかった、と面白おかしく風刺しているのだ。 (監督)ルネ・クレール(Rene Clair) (出演)ジェラール・フィリップ(Gerard Philipe)マガリ・ヴァンドイユ(Magali Vendeuil) マルティーヌ・キャロル(Martine Carol)ジーナ・ロロブリジーダ(Gina Lollobrigida) |
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赤と黒(Le Rouge et le Noir)1954年(仏/伊) 貧しい大工の息子ジュリアン(フィリップ)は、持ち前の才気を活かして立身出世を目指す野心家だった。 侯爵家の家庭教師となった彼は、夫人(ダリュー)に思いを寄せ、二人はいつしか人目をしのぶ恋仲に。 ブルジョア(上流階級)という言葉が示すように、フランスは階級社会である。主人公のジュリアンは、 大工の息子という下層階級の青年だ。彼は、持ち前の才気と計算高さをフルに使って社会を這いあがり、 身分違いの恋にも落ちるのだが、結局は階級社会の壁を突破できずに、破滅への道をたどってしまう。 主人公は鼻持ちならない野心家だが、それを気品溢れる美貌のジェラール・フィリップが演じているため、 観客はみな肩入れしてしまうのだ。年上の人妻を演じたダニエル・ダリューも息を呑むほどの熟女振りで、 文芸大作というよりもむしろ極上のメロドラマに仕上がっている。 (監督)クロード・オータン=ララ(Claude Autant-Lara) (出演)ジェラール・フィリップ(Gérard Philipe)ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux) |
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フレール河岸の娘たち(Les Petites du quai aux fleurs)1944年
夢の箱(La Boîte aux rêves)1945年
星のない国(Le pays sans étoiles)1946年
白痴(L'idiot)1946年
肉体の悪魔(Le diable au corps)1947年
パルムの僧院(La Chartreuse de Parme)1948年
美しき小さな浜辺(Une si jolie petite plage)1949年
すべての道はローマへ(Tous les chemins mènent à Rome)1949年
悪魔の美しさ(La beauté du diable)1950年
輪舞(La ronde)1950年
失われた想い出(Souvenirs perdus)1950年
愛人ジュリエット(Juliette ou La clef des songes)1951年
花咲ける騎士道(Fanfan la Tulipe)1952年
七つの大罪(Les sept péchés capitaux)1952年
夜ごとの美女(Les belles de nuit)1952年
狂熱の孤独(Les orgueilleux)1953年
しのび逢い(Monsieur Ripois)1954年
赤と黒(Le rouge et le noir)1954年
夜の騎士道(Les grandes manoeuvres)1955年
戦いの鐘は高らかに(Les aventures de Till L'Espiègle)1956年
奥様ご用心(Pot-Bouille)1957年
モンパルナスの灯(Les amants de Montparnasse (Montparnasse 19))1958年
勝負師(Le joueur)1958年
危険な関係(Les liaisons dangereuses)1959年
熱狂はエル・パオに達す(La fièvre monte à El Pao)1959年