不思議の国のアリス

ジーン・ハックマン（Gene Hackman）

生年月日： 1930/01/30
出身地：アメリカ／カリフォルニア州

1964年、ロバート・ロッセン監督の「リリス」で映画デビュー。

1971年、ウィリアム・フリードキン監督の「フレンチ・コネクション」での演技が認められ、
第44回アカデミー主演男優賞を獲得。一躍世界中の知るところとなった。

同作品で演じたコワモテ刑事ドイルの愛称ポパイは、現在に至るまで彼の愛称として親しまれている。

その後も「ポセイドン・アドベンチャー 1972」「スケアクロウ 1973」など、大作に立て続けに出演。
主演から脇役まで幅広い役柄をこなす俳優としてアメリカを代表するトップスターに上り詰めた。

代表作品

			俺たちに明日はない（BONNIE AND CLYDE）1967年（米）感化院あがりのクライド（ベイティ）とウエイトレスのボニー（ダナウェイ）は、コンビを組んで思いつくままに銀行強盗を働き、殺人も犯し凶悪犯として指名手配、凄絶な最期を遂げる。 1967年以前のハリウッド映画は、勧善懲悪のハッピーエンドにする、という決まりがあった。いい保安官と悪漢が登場し、悪漢をやっつけるという単純明快なものだった。だが本作は、従来の勧善懲悪とは一線を画し、銀行強盗が主人公で、そのドラマ性が描かれている。結末がバッドエンドであり、しかも大ヒットしたのは本作が初めてではないだろうか。その意味で本作は、ハリウッド映画における革命的作品だったといえる。ジーン・ハックマンは、主人公クライドのイカれた兄貴バック役を好演している。（監督）アーサー・ペン（ARTHUR PENN）（出演）ウォーレン・ベイティ（WARREN BEATTY）フェイ・ダナウェイ（FAYE DUNAWAY）ジーン・ハックマン（GENE HACKMAN）


			フレンチ・コネクション（The French Connection）1971年（米）アカデミー最優秀作品賞ヘロイン密輸の黒幕の尻尾を掴もうと連日、張り込みを続けるドイル刑事（ハックマン）と相棒のラソー。一方、豪華ホテルの高級レストランで粋な料理に舌鼓を打つ黒幕の一味。それを眺めながら寒空の下、刑事コンビはピザをかじり、冷めたコーヒーを啜る。数日後、ドイルはビルの屋上から組織の殺し屋に狙撃された。狙撃に失敗した殺し屋は地下鉄で逃走を図る。ドイルは手近の車を徴発して殺し屋を追う。暴走する地下鉄と車の凄まじいチェイスが繰り広げられる…。主人公ドイルは、犯人を容赦なく処刑するアウトロー刑事だ。だが捜査の巻き添えで一般市民や同僚の刑事が犠牲になったにもかかわらず、最終的には組織の黒幕を取り逃がしてしまう。後味の良くない結末から生まれる徒労感、無力感は、当時の泥沼化したベトナム戦争を背景に、アメリカの威信と正義が揺らぎ始めるなか、混迷と不安を極める時代の気分を反映している。（監督）ウィリアム・フリードキン（William Friedkin）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）ロイ・シャイダー（Roy Scheider）フェルナンド・レイ（Fernando Rey）


			ポセイドン・アドベンチャー（The Poseidon Adventure）1972年（米）大晦日の夜、豪華客船ポセイドン号は、大津波に襲われ、一瞬のうちに転覆。牧師スコット（ハックマン）は、かろうじて生き残った数名の乗客を引き連れ、必死の脱出を試みる。ボイラー爆発、浸水、彼らは上下逆転した異常な船内を、辛くも海上に浮かんでいる船底へ向かって脱出口を探す。犠牲者も次第に増えてゆく。その勇気と冒険と胃の痛くなるような恐怖体験に、観客は釘付けになってしまう。（監督）ロナルド・ニーム（Ronald Neame）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）アーネスト・ボーグナイン（Ernest Borgnine）シェリー・ウィンタース（Shelley Winters）ロディ・マクドウォール（Roddy McDowall）キャロル・リンレイ（Carol Lynley）レスリー・ニールセン（Leslie Nielsen）


			スケアクロウ（Scarecrow）1973年（米）カンヌ国際映画祭グランプリマックス（ハックマン）は、六年の刑期を終えて「刑務所」を出たばかり。一方、元船員のライオン（パチーノ）は、五年ぶりにデトロイトの妻の許へ戻る途中だった。ひょんなことから出会った二人は、一緒に旅をすることになる。ハックマンが、ムショ上がりの粗暴な男を、パチーノが、うらぶれたチンピラ船乗りを演じている。そんなろくでなしの男二人が、他愛無い話を駄弁りながら旅する姿には、どうしようもない哀愁が漂っている。だが、二人のやるせない姿のなかに、ユーモアたっぷりの微妙な心の暖かさが感じられる作品である。（監督）ジェリー・シャッツバーグ（Jerry Schatzberg）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）アル・パチーノ（Al Pacino）


			スーパーマン（Superman）1978年（米）滅亡の危機に瀕していた惑星クリプトンで生まれたスーパーマンは、惑星が崩壊する直前、父親の手で地球へ送り出される。地球へたどり着いた彼は、クラーク・ケントと名付けられ、カンザス州の農家で育てられる。やがて成長したケントは、新聞社デイリー・プラネットで記者として働きはじめる。そのかたわら、街で事件が起こると、彼はスーパーマンに変身しては、次々と事件を解決していく｡ケントは、同僚の女性記者、ロイス・レーンに好意を寄せている。スクープを狙い、常に動き回る彼女は、数々の危機をスーパーマンに救われる。だが彼女は、ケントが実はスーパーマンであることを知らない。ジーン・ハックマンは、スーパーマン最大の宿敵である悪の科学者レックス・ルーサーを演じている。（監督）リチャード・ドナー（Richard Donner）（出演）クリストファー・リーヴ（Christopher Reeve）マーゴット・キダー（Margot Kidder）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）

	Superman Teme（John Williams）


			許されざる者（Unforgiven）1992年（米）アカデミー最優秀作品賞殺し屋マニー（イーストウッド）は、足を洗っていたが、子供を食べさせるため、キッド、ネッドとともに賞金稼ぎの旅に出る。しかし、街の保安官（ハックマン）は、彼らを許せず、ネッドを拷問で殺してしまう。マニーは、復讐を誓うのだが…。映画が公開された1992年、ロサンゼルスの街で黒人暴動があり、街は炎に包まれた。暴動のきっかけは、前年に起きた白人警官による黒人暴行事件だった。スピード違反で現行犯逮捕した黒人男性を、執拗に殴り続け、重症を負わせたのだが、裁判の結果、暴行した警官全員が無罪判決となった。収まらない黒人たちの怒りが暴動を呼んだ。映画では、白人保安官が黒人の賞金稼ぎを「治安のため」という名目で暴力を行使する。見せしめに、立ち上がれなくなるまで殴りつけ、最後は死に至らしめるという凄まじさだった。本作は、過剰な暴行シーンの描写によって、米国社会に深くはびこる、人種への偏見と差別を鋭く告発している。（監督・出演）クリント・イーストウッド（Clint Eastwood）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）

リリス（Lilith）1964年
ハワイ（Hawaii）1966年
体当り決死隊（First to Fight）1967年
俺たちに明日はない（Bonnie and Clyde）1967年
汚れた七人（The Split）1968年
暴動（Riot）1969年
さすらいの大空（The Gypsy Moths）1969年
白銀のレーサ（Downhill Racer）1969年
宇宙からの脱出（Marooned）1969年
父の肖像（I Never Sang for My Father）1970年
さらば荒野（The Hunting Party）1971年
フレンチ・コネクション（The French Connection）1971年（アカデミー主演男優賞）
ブラック・エース（Prime Cut）1972年
ポセイドン・アドベンチャー（The Poseidon Adventure）1972年
スケアクロウ（Scarecrow）1973年
カンバセーション…盗聴…（The Conversation）1974年
西部に来た花嫁（Zandy's Bride）1974年
ヤング・フランケンシュタイン（Young Frankenstein）1974年
フレンチ・コネクション2（French Connection II）1975年
ナイトムーブス（Night Moves）1975年
弾丸を噛め（Bite the Bullet）1975年
ラッキー・レディ（Lucky Lady）1975年
ドミノ・ターゲット（The Domino Principle）1977年
遠すぎた橋（A Bridge Too Far）1977年
外人部隊フォスター少佐の栄光（March or Die）1977年
スーパーマン（Superman）1978年
スーパーマンII 冒険篇（Superman II）1981年
恋のドラッグストア・ナイト（All Night Long）1981年
レッズ（Reds）1981年
錆びた黄金（Eureka）1981年
アンダー・ファイア（Under Fire）1983年
地獄の7人（Uncommon Valor）1983年
ウィンター・ローズ（Misunderstood）1984年
燃えてふたたび（Twice in a Lifetime）1985年
ターゲット（Target）1985年
キングの報酬（Power）1986年
勝利への旅立ち（Hoosiers）1986年
スーパーマン4 最強の敵（Superman IV: The Quest For Peace）1987年
追いつめられて（No Way Out）1987年
バット21（Bat 21）1988年
私の中のもうひとりの私（Another Woman）1988年
傷だらけの青春（Split Decisions）1988年
ブルーウォーターで乾杯（Full Moon in Blue Water）1988年
ミシシッピー・バーニング（Mississippi Burning）1988年（ベルリン国際映画祭銀熊男優賞）
ザ・パッケージ/暴かれた陰謀（The Package）1989年
キャノンズ（Loose Cannons）1990年
ハリウッドにくちづけ（Postcards from the Edge）1900年
カナディアン・エクスプレス（Narrow Margin）1900年
訴訟（Class Action）1991年
ロシアン・ルーレット（Company Business）1991年
許されざる者（Unforgiven）1992年（アカデミー助演男優賞）
ザ・ファーム法律事務所（The Firm）1992年
ジェロニモ（Geronimo: An American Legend）1993年
ワイアット・アープ（Wyatt Earp）1994年
クイック&デッド（The Quick and the Dead）1995年
クリムゾン・タイド（Crimson Tide）1995年
ゲット・ショーティ（Get Shorty）1995年
バードケージ（The Birdcage）1996年
ボディ・バンク（Extreme Measures）1996年
チェンバー/凍った絆（The Chamber）1996年
目撃（Absolute Power）1997年
トワイライト葬られた過去（Twilight）1998年
エネミー・オブ・アメリカ（Enemy of the State）1998年
アンダー・サスピション（Under Suspicion）2000年
リプレイスメント（The Replacements）2000年
ザ・メキシカン（The Mexican）2001年
ハートブレイカー（Heartbreaker）2001年
ザ・プロフェッショナル（Heist）2001年
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ（The Royal Tenenbaums）2001年
エネミー・ライン（Behind Enemy Lines）2001年
ニューオーリンズ・トライアル（Runaway Jury）2003年
ムースポート（Welcome to Mooseport）2004年

			俺たちに明日はない（BONNIE AND CLYDE）1967年（米）感化院あがりのクライド（ベイティ）とウエイトレスのボニー（ダナウェイ）は、コンビを組んで思いつくままに銀行強盗を働き、殺人も犯し凶悪犯として指名手配、凄絶な最期を遂げる。 1967年以前のハリウッド映画は、勧善懲悪のハッピーエンドにする、という決まりがあった。いい保安官と悪漢が登場し、悪漢をやっつけるという単純明快なものだった。だが本作は、従来の勧善懲悪とは一線を画し、銀行強盗が主人公で、そのドラマ性が描かれている。結末がバッドエンドであり、しかも大ヒットしたのは本作が初めてではないだろうか。その意味で本作は、ハリウッド映画における革命的作品だったといえる。ジーン・ハックマンは、主人公クライドのイカれた兄貴バック役を好演している。（監督）アーサー・ペン（ARTHUR PENN）（出演）ウォーレン・ベイティ（WARREN BEATTY）フェイ・ダナウェイ（FAYE DUNAWAY）ジーン・ハックマン（GENE HACKMAN）


			フレンチ・コネクション（The French Connection）1971年（米）アカデミー最優秀作品賞ヘロイン密輸の黒幕の尻尾を掴もうと連日、張り込みを続けるドイル刑事（ハックマン）と相棒のラソー。一方、豪華ホテルの高級レストランで粋な料理に舌鼓を打つ黒幕の一味。それを眺めながら寒空の下、刑事コンビはピザをかじり、冷めたコーヒーを啜る。数日後、ドイルはビルの屋上から組織の殺し屋に狙撃された。狙撃に失敗した殺し屋は地下鉄で逃走を図る。ドイルは手近の車を徴発して殺し屋を追う。暴走する地下鉄と車の凄まじいチェイスが繰り広げられる…。主人公ドイルは、犯人を容赦なく処刑するアウトロー刑事だ。だが捜査の巻き添えで一般市民や同僚の刑事が犠牲になったにもかかわらず、最終的には組織の黒幕を取り逃がしてしまう。後味の良くない結末から生まれる徒労感、無力感は、当時の泥沼化したベトナム戦争を背景に、アメリカの威信と正義が揺らぎ始めるなか、混迷と不安を極める時代の気分を反映している。（監督）ウィリアム・フリードキン（William Friedkin）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）ロイ・シャイダー（Roy Scheider）フェルナンド・レイ（Fernando Rey）


			ポセイドン・アドベンチャー（The Poseidon Adventure）1972年（米）大晦日の夜、豪華客船ポセイドン号は、大津波に襲われ、一瞬のうちに転覆。牧師スコット（ハックマン）は、かろうじて生き残った数名の乗客を引き連れ、必死の脱出を試みる。ボイラー爆発、浸水、彼らは上下逆転した異常な船内を、辛くも海上に浮かんでいる船底へ向かって脱出口を探す。犠牲者も次第に増えてゆく。その勇気と冒険と胃の痛くなるような恐怖体験に、観客は釘付けになってしまう。（監督）ロナルド・ニーム（Ronald Neame）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）アーネスト・ボーグナイン（Ernest Borgnine）シェリー・ウィンタース（Shelley Winters）ロディ・マクドウォール（Roddy McDowall）キャロル・リンレイ（Carol Lynley）レスリー・ニールセン（Leslie Nielsen）


			スケアクロウ（Scarecrow）1973年（米）カンヌ国際映画祭グランプリマックス（ハックマン）は、六年の刑期を終えて「刑務所」を出たばかり。一方、元船員のライオン（パチーノ）は、五年ぶりにデトロイトの妻の許へ戻る途中だった。ひょんなことから出会った二人は、一緒に旅をすることになる。ハックマンが、ムショ上がりの粗暴な男を、パチーノが、うらぶれたチンピラ船乗りを演じている。そんなろくでなしの男二人が、他愛無い話を駄弁りながら旅する姿には、どうしようもない哀愁が漂っている。だが、二人のやるせない姿のなかに、ユーモアたっぷりの微妙な心の暖かさが感じられる作品である。（監督）ジェリー・シャッツバーグ（Jerry Schatzberg）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）アル・パチーノ（Al Pacino）


			スーパーマン（Superman）1978年（米）滅亡の危機に瀕していた惑星クリプトンで生まれたスーパーマンは、惑星が崩壊する直前、父親の手で地球へ送り出される。地球へたどり着いた彼は、クラーク・ケントと名付けられ、カンザス州の農家で育てられる。やがて成長したケントは、新聞社デイリー・プラネットで記者として働きはじめる。そのかたわら、街で事件が起こると、彼はスーパーマンに変身しては、次々と事件を解決していく｡ケントは、同僚の女性記者、ロイス・レーンに好意を寄せている。スクープを狙い、常に動き回る彼女は、数々の危機をスーパーマンに救われる。だが彼女は、ケントが実はスーパーマンであることを知らない。ジーン・ハックマンは、スーパーマン最大の宿敵である悪の科学者レックス・ルーサーを演じている。（監督）リチャード・ドナー（Richard Donner）（出演）クリストファー・リーヴ（Christopher Reeve）マーゴット・キダー（Margot Kidder）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）

	Superman Teme（John Williams）


			許されざる者（Unforgiven）1992年（米）アカデミー最優秀作品賞殺し屋マニー（イーストウッド）は、足を洗っていたが、子供を食べさせるため、キッド、ネッドとともに賞金稼ぎの旅に出る。しかし、街の保安官（ハックマン）は、彼らを許せず、ネッドを拷問で殺してしまう。マニーは、復讐を誓うのだが…。映画が公開された1992年、ロサンゼルスの街で黒人暴動があり、街は炎に包まれた。暴動のきっかけは、前年に起きた白人警官による黒人暴行事件だった。スピード違反で現行犯逮捕した黒人男性を、執拗に殴り続け、重症を負わせたのだが、裁判の結果、暴行した警官全員が無罪判決となった。収まらない黒人たちの怒りが暴動を呼んだ。映画では、白人保安官が黒人の賞金稼ぎを「治安のため」という名目で暴力を行使する。見せしめに、立ち上がれなくなるまで殴りつけ、最後は死に至らしめるという凄まじさだった。本作は、過剰な暴行シーンの描写によって、米国社会に深くはびこる、人種への偏見と差別を鋭く告発している。（監督・出演）クリント・イーストウッド（Clint Eastwood）（出演）ジーン・ハックマン（Gene Hackman）