キャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)

生年月日 : 1907/05/12
出身地 : アメリカ/コネチカット州
没年 : 2003/06/29

幼い頃から女優に憧れ、大学(Bryn Mawr College)卒業後はニューヨークの劇団で初舞台を踏む。
1932年、ブロードウェイの舞台に出演中、ジョージ・キューカー監督に見出され「愛の嗚咽」でデビュー。

キューカー監督とは、その後10本の作品でコンビを組み「素晴らしき休日 1938」
「フィラデルフィア物語 1940」「アダム氏とマダム 1949」など不朽の名作を生み出すことになる。

その後も「旅情 1955」「招かれざる客 1967」などで、快活な魅力と見事な演技を披露。

「招かれざる客」は、黒人と白人の結婚問題を扱った作品で、ハリウッド映画史上初の黒人男性と
白人女性のキスシーンが登場するなど、製作当時としては非常に大胆な内容だった。

ヘプバーンは、この作品で、2回目のアカデミー主演女優賞を受賞。生涯では都合4回の主演女優賞を獲得。
エリザベス・テイラーですら受賞は2回だから、ヘプバーンの最多記録は、いまだ破られていない。




代表作品

      アダム氏とマダム(Adam's Rib)1949年(米)

浮気亭主を狙撃し負傷させた妻。その弁護士として法廷で女性の権利のために闘うアマンダ(ヘプバーン)
だが一方の浮気亭主を弁護するのは、こともあろうに彼女の夫アダム(トレイシー)だった。

妻が夫の浮気を目撃して発砲する事件が起こり、それを弁護士夫婦が、被告をめぐって法廷で争う
というコメディ・タッチの傑作。

ヘプバーンとトレイシーは、名コンビというより、事実上のパートナーだった。結婚までには至らなかったが、
ロサンゼルスの住居で、20年以上を共に過ごしている。

元気の良すぎるヘプバーンのコントロールが上手くいかずに、少々とまどいを感じるトレイシーの表情が、
実際の二人の関係を語っているようで、何ともおかしい。

(監督)ジョージ・キューカー(George Cukor)
(出演)スペンサー・トレイシー(Spencer Tracy)キャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)
       
       
    アフリカの女王(THE AFRICAN QUEEN)1951年(米/英)

1914年ドイツ領タンザニア。とある村がドイツ軍の砲撃に遭い、一人の宣教師がそのショックで死ぬ。

宣教師の妹ローズ(ヘプバーン)は、復讐を誓い、ドイツ軍の砲艦を撃沈しようと計画する。
彼女は、おんぼろ蒸気船の船長(ボガート)に手製の魚雷を作らせ、砲艦に近づこうとするが…。

一途で勝気なローズと、飲んだくれ船長の掛け合いが見事で、軽妙な弥次喜多道中といった趣がある。
ほとんど水と油の二人だが、危機的状況の中で絆が生まれ、やがて愛が芽生えてゆく過程も見どころ。

(監督)ジョン・ヒューストン(JOHN HUSTON)
(出演)ハンフリー・ボガート(HUMPHREY BOGART)キャサリン・ヘプバーン(KATHARINE HEPBURN)
       
       
      旅情(SUMMERTIME)1955年(英)

憧れのベネチア旅行にやって来たアメリカ人のジェーン(ヘプバーン)は、独身の中年女性。

ホテルも街も楽しげなカップルで溢れ、ひとり散策する彼女に話しかけてくるのは地元の少年だけ。
孤独感を味わい、カフェに腰掛けた彼女を、イタリア人中年紳士レナート(ブラッツィ)が見つめる。

ロマンスを求めるハイミスの哀歓を繊細なタッチで描き上げた恋愛映画の名編。あでやかで美しいベネチアの
風景の一つひとつが、淋しいヒロインの気持ちと対照をなす。映画史に残る別れのラストシーンも見どころ。

(監督)デヴィッド・リーン(DAVID LEAN)
(出演)キャサリン・ヘプバーン(KATHARINE HEPBURN)ロッサノ・ブラッツィ(ROSSANO BRAZZI)
       
       
    招かれざる客(GUESS WHO'S COMING TO DINNER)1967年(米)

白人女性ジョーイは、旅先のハワイで黒人医師ジョン(ポワチエ)に出会い、恋に落ちる。
二人は結婚を誓い合い、ジョーイは両親の許しを得ようとジョンを自宅へ連れて来る。

母親(ヘプバーン)は最初こそ戸惑うが、娘の笑顔に次第に結婚を容認するようになる。
だが父親(トレイシー)は、愛娘の結婚相手が黒人青年となると素直に受け入れられない。

白人だったらこれほど理想的な結婚相手はないと、親に太鼓判を押されそうな黒人をシドニー・ポワチエが
情熱を持って知的に演じている。娘の恋人が黒人であること以外、何のケチもつけられないが、世間の冷たい
風向きが娘に及ぶことを恐れる父親の心境は複雑で、それが頑なな父親像を作り出している。

(監督)スタンリー・クレイマー(STANLEY KRAMER)
(出演)スペンサー・トレイシー(SPENCER TRACY)キャサリン・ヘプバーン(KATHARINE HEPBURN)
シドニー・ポワチエ(SIDNEY POITIER)キャサリン・ホートン(KATHARINE HOUGHTON)
       

愛の嗚咽(A Bill of Divorcement)1932年
人生の高度計(Christopher Strong)1933年
勝利の朝(Morning Glory)1933年(アカデミー主演女優賞)
若草物語(Little Women)1933年(1934年ベネチア国際映画祭最優秀女優賞)
野いばら(Spitfire)1934年
小牧師(The Little Minister)1934年
心の痛手(Break of Hearts)1935年
乙女よ嘆くな(Alice Adams)1935年
男装(Sylvia Scarlett)1935年
メアリー・オブ・スコットランド(Mary of Scotland)1936年
女性の反逆(A Woman Rebels)1936年
偽装の女(Quality Street)1937年
ステージ・ドア(Stage Door)1937年
赤ちゃん教育(Bringing Up Baby)1938年
素晴らしき休日(Holiday)1938年
フィラデルフィア物語(The Philadelphia Story)1940年
女性No.1(Woman of the Year)1942年
火の女(Keeper of the Flame)1942年
Stage Door Canteen 1943年
Dragon Seed 1944年
愛はなく(Without Love)1945年
Undercurrent 1946年
大草原(The Sea of Grass)1947年
愛の調べ(Song of Love)1947年
愛の立候補宣言(State of the Union)1948年
アダム氏とマダム(Adam's Rib)1949年
アフリカの女王(The African Queen)1951年
パットとマイク(Pat and Mike)1952年
旅情(Summertime)1955年
雨を降らす男(The Rainmaker)1956年
ロマンス・ライン(The Iron Petticoat)1956年
デスク・セット(Desk Set)1957年
去年の夏 突然に(Suddenly, Last Summer)1959年
夜への長い旅路(Long Day's Journey Into Night)1962年(カンヌ国際映画祭演技賞)
招かれざる客(Guess Who's Coming to Dinner)1967年(アカデミー主演女優賞)
冬のライオン(The Lion in Winter)1968年(アカデミー主演女優賞)
シャイヨの伯爵夫人(The Madwoman of Chaillot)1969年
トロイアの女(The Trojan Women)1971年
A Delicate Balance 1973年
オレゴン魂(Rooster Cogburn)1975年
ゆかいな風船旅行(Olly Olly Oxen Free)1978年
黄昏(On Golden Pond)1981年(アカデミー主演女優賞)
グレース・クイッグリーの究極の解決(Grace Quigley)1984年
めぐり逢い(Love Affair)1994年