藍より青く   1972年(昭和47年)       ドラマ傑作選

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昭和18年、太平洋戦争のさなかの熊本県天草。

地元の郵便局に勤める真紀(真木洋子)は、その帰り道に港を通って帰っていた。

思いを寄せる漁師の周一(大和田伸也)が港で働いているからだった。


だが、帰宅した真紀はいきなり父親の行義(高松英郎)に怒鳴られる。

年頃の男女の付き合いに対する世間の目が厳しい時代であった。


出征を間近に控えた周一に不安を覚えた行義は、二人の結婚に反対する。

そして父親の心配は現実のものとなってしまった…。




ヒロイン・真紀は、厳格な父に反対されながらも網元の息子・周一と結婚する。

しかし、長男が生まれる前に夫は出征し、そのまま帰らぬ人となってしまう。


18歳で戦争未亡人となった真紀は、戦後息子と共に東京に移り住み、同じく戦争で

夫を亡くした女性を集め、アイスキャンディ屋の開店準備を始める。


郵便局員からキャンディ屋、そしてついには中華料理店を経営するまでになる真紀の

バイタリティは、戦争という共通体験をもつ当時の視聴者を勇気づけるものだった。


また、夫・周一を演じた大和田伸也の爽やかな好男子ぶりもこの作品の魅力だった。


なお、本作の放送開始早々、出征する周一に視聴者からの「助命嘆願」が集まった。


「周一を戦死させたら見ないぞ」という内容の投書が多数寄せられたことについて、

脚本を担当した山田太一は「そのようにかけがえのない人を失ったのが戦争だった」

と語っている。



(制作)NHK(脚本)山田太一

(主題歌)本田路津子「耳をすましてごらん」(作詞:山田太一、作曲:湯浅譲二)

(配役)田宮真紀(真木洋子)父・行義(高松英郎)妹・嘉恵(今出川西紀)周太郎(原康義)

村上周一(大和田伸也)村上周造(佐野浅夫)村上キク(赤木春恵)村上孝治(尾藤イサオ)


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