赤い陣羽織 1959年(昭和34年) ドラマ傑作選


昔、ある田舎の村に、おやじ(小沢重雄)と、おかか(蓮川くみ)という仲のいい、
そして働き者の夫婦がいた。
とぼけた顔をして、風采の上がらぬおやじに比べ、おかかは飛び切りの美人だった。
ある日、赤い陣羽織を着た村の代官(久米明)が、家来を連れて見回りにやってきた。
この代官、悪賢いうえに好色で、あわよくば、おかかに言い寄ろうと狙っている。
そこで職権を利用して、おやじを庄屋に捕えさせ、その留守におかかを襲ったのだ。
代官の企みに気が付いたおやじは、やっとのことで牢を破り、家に駆けつけた。
すると、代官の陣羽織が炉端に脱ぎ捨ててあり、おかかの名を呼んでも返事がない。
てっきり、おかかが手籠めにされたと思い込んだおやじは、代官への復讐を決心する。
それは、代官の奥方(香川京子)をモノにすることだった。そして彼は陣羽織を着込み、
まっしぐらに代官の屋敷に向かうのだった…。
好色の代官が、ある人妻になんとか近づこうとするが……。木下順二の戯曲をドラマ化した、
一種の風刺喜劇。赤い陣羽織が、当時の権力の象徴として使われている。
本作は、日本初のカラーテレビドラマとされる。(1959年4月15日放送)
この当時のカラーテレビ放送は実験放送の時代で、照明はモノクロの場合の 4、5 倍の明るさを
必要としたため、スタジオ内は蒸し風呂のような暑さだったという。
出演者はライトの高熱で大汗をかきながら演じたが、ほとんどの視聴者は、この放送を
白黒テレビで見ていたこともあって、評判はあまり良くなかった。
なにしろ、白黒テレビの普及率でさえ、23%で、カラーテレビにいたっては、わずか千台
足らずしか市場に出回っていなかったのだ。
本格的なカラー時代の幕開けは、昭和39年の東京オリンピックからであった。
(制作)NTV(脚本)木下順二
(配役)おやじ(小沢重雄)おかか(蓮川くみ)代官(久米明)奥方(香川京子)家来(田辺皓一)庄屋(桑山正一)
