ヒットメーカー 阿久悠物語 2008年(平成20年) ドラマ傑作選
生まれ育った瀬戸内の淡路島から上京し、明治大学を卒業した阿久悠(田辺誠一)が、
小さな広告代理店に入社したのは、1959年(昭和34年)のことであった。
やがて、副業として手掛けたCM音楽制作が軌道にのった阿久は、広告代理店を退社し、
フリーの作詞家として本格的に活動をスタートした。
その頃、テレビ業界では、自らの手でスターを発掘・育成する番組を立ち上げる
必要に迫られていた。
当時の芸能界は、沢田研二や小柳ルミ子、天地真理ら人気スターを多く擁する
渡辺プロ抜きには歌番組が成立しないという状態が長く続いていたからである。
そして、芸能界をガラス張りにしたいと訴える阿久のアイデアで生まれたのが、
オーディション番組「スター誕生!」だった。
この番組の特長は、決勝大会に出場したスター予備軍を、複数のプロダクションの
スカウトマンが会場で指名するプラカード方式を採用したことだ。
この企画は当たり「スタ誕」には、スターを夢見る約200万人が応募。
テレビ予選には5500人が参加、423人が決勝大会に出場した。
決勝大会では、プロダクション、レコード会社がスカウトする形で札を上げ、
桜田淳子には25社、山口百恵に20社、森昌子は13社が名乗りでた。
その結果、渡辺プロの一強が崩れ、スター歌手は中小の芸能プロからも生まれていった。
阿久悠が企画した番組「スター誕生!」を中心に、阿久の人生を振り返ったテレビドラマ。
阿久が世に送り出した楽曲は5000曲ともいわれる。彼の作詞家としての生涯を追いながら、
歌謡曲が最も華やかだった時代の知られざる人間模様が描かれている。
見どころは、山口百恵の審査時に、阿久悠が百恵を酷評する場面である。
「君は、歌はあきらめたほうがいい…」 審査員の評価だけなら百恵は落選であった。
だが「スタ誕」の審査方法は票の半分を会場客が持っていた。
その結果、山口百恵は阿久の評価とは対照的に、会場の圧倒的支持を得て合格となる。
百恵が歌手デビューした後も、阿久は生涯楽曲を彼女に提供することはなかった。
そしてドラマの圧巻は、阿久が手掛けたピンク・レディと百恵のレコード大賞対決となる。
(制作)日本テレビ(脚本)野尻靖之
(配役)阿久悠(田辺誠一)都倉俊一(内田朝陽)池田文雄(及川光博)森昌子(平塚あみ)桜田淳子(鈴木愛理)
山口百恵(星野真里)未唯(高橋愛)増田恵子(新垣里沙)萩本欽一(五辻真吾)