あなたお話しましょう 1968年(昭和43年) ドラマ傑作選
三回目の結婚記念日を迎えた大仁知成(船越英二)と妻の由木子(京マチ子)
だが、夫の知成は営業部長として第一線で働いていたため、家庭では対話のない夫婦生活。
さらに夫の帰宅は、ほとんど毎日飲んだくれての朝帰り。
由木子は、いったい夫婦をどう考えているのか、仕事ばかりで落ち着いて話もしたことはない、
妻を背広をハンガーにかける道具だと思っているのか、など日ごろの不満を爆発させてしまう。
だがそんなある日、突然、夫の帰宅が早くなり、家事を手伝い、二人で外出すると言いだす。
妻の願いがすべてかなう生活が訪れ、最初は喜んだ由木子だったが…。
実は、夫の知成の会社に合併問題が持ち上がり、知成は営業部長のポストを降ろされるハメに。
ここへきてようやく家庭の大切さに気付いた知成だったが…。
一方、夫の朝帰りに腹を立てたものの、早く帰れば帰ったで、かえって気づまりが増すだけの
妻の由木子であった。
脚本を担当した橋田寿賀子は、1966年、当時TBSの企画課長だった岩橋嘉一氏と結婚。
夫の岩橋氏は亭主関白で、結婚当初からあれやこれやと指示の多い人だったらしい。
だが橋田氏は、脚本を書くのに結婚が大いにプラスになったと自身の著書で語っている。
本作で船越英二が演じる何かと口うるさい亭主は、まさに自身の夫がモデルだという。
「日常にはドラマがいっぱい転がっている」と語る橋田氏だが、主婦業を兼ねながら執筆した作品は、
自身の体験を反映したものが多く、同じ経験を持つ広範な女性視聴者の共感を大いに呼び起こした。
(制作)TBS(脚本)橋田寿賀子
(配役)大仁由木子(京マチ子)大仁知成(船越英二)小川治夫(長谷川哲夫)
小川伸子(青柳美枝子)青野(玉川伊佐男)