青い鳥   1997年(平成9年)       ドラマ傑作選

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柴田理森(豊川悦司)は、長野にある寂れた田舎町・清澄の駅員である。

駅長の父・憲史(前田吟)と父一人子一人で暮らしている。


ある日清澄駅に、一目で都会から来たと分かる垢抜けた母娘が降り立った。

町村かほり(夏川結衣)と娘の誌織(鈴木杏)である。


母と娘は、再婚相手の綿貫(佐野史郎)と会うために、やって来たのだった。


かほりは、清澄で暮らすことになったのだが、慣れない田舎暮らしと、
夫の父に冷淡な態度をとられ、息の詰まるような毎日を送っていた。




娘の誌織は、通学の途中、駅の待ち時間に、理森と言葉を交わすようになり、
「駅長さん」と呼んで理森を慕う。


ある日、夕立が降る中、駅の待合室で、いつものように母の迎えを待つ誌織。

やがて、母かほりの赤い車が駅に近づく。
かほりは、車から降り立ち、傘を片手に誌織を迎えにやってくる。

だが、折からの風雨に傘を飛ばされ、雨に濡れるかほりに理森は目を奪われる。



本当の幸せを求めて彷徨う男女の姿を繊細に描いたラブストーリー。


清澄駅で、理森とかほりは、顔を合わせた途端、運命的な出会いを感じる。

この出会いは、やがて二人の運命を大きく狂わせることになった。

理森は、全てを投げうち、かほりとその娘・誌織を連れて駆け落ちしてしまう。



本作は「純愛」をテーマとした物語である。

主人公は、純愛を全うするため、自己犠牲をいとわず、逃避行を決行する。


だが、その代償として、職場や家族という社会での居場所を失ってしまう。
純愛は、今現在の状態を確保したままでは手に入らないものとして描かれる。


そして落ち行く旅の途中、束の間の幸せをかみしめる二人の背後に迫る追っ手の影。

不倫と言う禁断の恋に葛藤しながらも純愛を貫こうとする二人の姿は、観る者の心を打つ
のだが、道を踏み外してしまった彼ら二人の向かう先に、安住の地はなかったのである。



本作は、その波乱に満ちた逃避行を、ロードムービーさながらの大掛かりな
全国縦断ロケと、半年の撮影期間をかけて壮大に綴ったドラマである。


全11話の連続ドラマが終了した翌週に「完結編」として、その後を描いた
二時間スペシャルが放映されたことでも話題を集めた。
   

 
(制作)TBS(原作)メーテルリンク(脚本)野沢尚

(配役)柴田理森(豊川悦司)柴田憲史(前田吟)町村かほり(夏川結衣)町村誌織(鈴木杏/山田麻衣子)
秋本美紀子(永作博美)綿貫広務(佐野史郎)綿貫純一朗(仲谷昇)清水昌男(桜庭博道)高井三郎(青柳文太郎)



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                              L'oiseau Bleu(青い鳥)