熱き涙を 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選

福井県三国町に住む菊江(十朱幸代)は、土地の食品工場で事務員として働いている。
彼女の家は、父が亡くなったあと、母の八重子(乙羽信子)が、魚問屋のパートを、
妹の重子は、福井市の商店連合会で事務員として働き、全員で一家を支えている。
菊江は五年前、妻子ある男と心中未遂事件を起こした過去があり、母・八重子は、
そのことが何かにつけて気がかりとなっている。
その菊江も、心の中では、港の工事に東京からやって来る技師の鉄男(宍戸錠)に
いつからか、好意以上のものを持つようになっていた。
鉄男から結婚をせまられ、菊江もその気になるのだが、彼女は過去の暗い事件があり、
また鉄男も、妻を亡くしての再婚のため、二人とも面映ゆい思いがあった。
そうした二人の間に、武治(尾藤イサオ)が現れる。
漆器職人の武治は、菊江とは高校時代の同級生であり、淡い恋の思い出があった。
その恋の芽が、久しぶりの再会によって、よみがえって来て、菊江の心の中で
複雑な思いを織りなしていくのだった。
古い港町の情緒を残す福井県三国町の街並み、そして漆の里・河和田、越前の厳しい冬を背景に、
婚期を過ぎようとしている女の心の揺れ、そして二人の男性に愛されながらも、運命的に
結ばれることのない女の哀しみを描き上げた佳篇。
十朱幸代が、過去の古傷を心に秘め、ひたむきに生きるヒロインを情感豊かに演じている。
(制作)NHK(脚本)楠田芳子
(配役)関口菊江(十朱幸代)重子(井原千寿子)八重子(乙羽信子)矢部武治(尾藤イサオ)加代(村地弘美)
島田鉄男(宍戸錠)真弓(前村麻由美)米吉(下元勉)遠藤(前沢迪雄)澄子(小林恵美子)ふみ(三崎千恵子)
