ビッグX
1964年(昭和39年)
ドラマ傑作選
第二次大戦中、ヒトラーの命により、朝雲博士は「ビッグX計画」を推進していた。
ヒトラーは、兵士をビッグXで巨人化させ、連合国を撃滅しようと目論んでいたのだ。
ビッグX計画の軍事利用を恐れた朝雲博士は、息子・しげるに、その秘密を託し絶命する。
そして20年後、ビッグXの秘密を探るべく、秘密結社「ナチス同盟」は遂にその毒牙を剥く。
彼らは、ビッグXの製法を知るしげるをつけ狙い、その命を奪ってしまう。
しげるの息子・昭は、ナチス同盟を叩き潰し、父の敵を討つべく、ビッグXの力で戦いを挑む。
1963年から1966年まで集英社「少年ブック」に連載された手塚治虫の同名漫画のTVアニメ化。
「マグマ大使 1965年」と同じ巨大ロボットものの系譜に属する作品だが、主人公ビッグXは
特殊な薬品「ビッグX」により巨大化した人間である。
ビッグXを注入された生物は、宇宙空間や水中でも活動が可能になるため、朝雲しげるは
父親の残したこの薬品を、宇宙探索用に平和利用しようと考えていた。
だが彼は、再び現われたナチス同盟により殺されてしまう。
しげるの息子・昭は、父の友人・花丸博士より「ビッグX」の入ったペン形の注射器と
特殊なゴムの服を渡され、超人としてナチス同盟と戦うことを決心する。
なお、原作では主人公・朝雲昭は「ビッグX」をペン形の注射器で自ら打って変身するが、
アニメ版では、ペン型の機械装置から出る光線状のエネルギーを、昭が胸に当てることで変身する。
この設定変更は、スポンサーである「花王石鹸」の意向によるものである。
また、本作の特徴として、悪役としてのナチスが強調されている。
「反戦」「反ナチズム」は、手塚漫画のテーマの一つであり、本作でも正義の味方が悪の手先を
やっつけるという勧善懲悪のいたって分かりやすいストーリーとなっている。
主人公の朝雲昭がビッグXとなり、ナチス同盟の開発したV3号というロボットや戦車を
ぶち壊すところを、当時の子供たちはわくわくしながら見ていたのである。
(制作)TBS、東京ムービー(原作)手塚治虫(脚本)角田次郎
(主題歌)上高田少年合唱団「ビッグX」(作詞:谷川俊太郎、作曲:冨田勲)
(配役)朝雲昭(太田淑子)ビッグX(島田彰)朝雲しげる(仲野宏)昭の母(渡辺知子)花丸博士(永井一郎)
ニーナ(白石冬美)ハンス・エンゲル(山本圭)イリーナ・エンゲル(向井真理子)
ビッグX
たまなんか はねかえせ ジェット機だって 手づかみだ
鉄のからだが モリモリのびる 立ちあがれ ビッグX
軍艦なんか ふんづけろ 戦車だって 手づかみだ
鉄のからだが 正義を守る 立ち上がれ ビッグX
がんばれ がんばれ がんばれ ビッグX
ボクの名はアキラ、ビッグXとは、人間を大きくする機械である。
ボクは正義のためにビッグXで戦うのだ。
作詞:谷川俊太郎、作曲:冨田勲、歌:上高田少年合唱団