長七郎江戸日記 1983年(昭和58年) ドラマ傑作選
松平長七郎(里見浩太朗)は、将軍家に生まれながらも、大名の座を蹴り、市井に暮らす。
普段は素浪人・速水長三郎として、瓦版屋「夢楽堂」の居候として暮らしている。
ある日、長七郎は、とある辻堂で襲われている町娘を救い、夢楽堂へ連れて行った。
おてると名乗り、何を見ても物珍しげにのぞきこむその娘は、黒羽藩2万石の照姫だった。
徳川家光の弟・松平忠長の忘れ形見である松平長七郎(里見浩太朗)が、身分を隠して
江戸で暮らし、世にはびこる悪を退治するという痛快娯楽時代劇。
長七郎は、家光の甥に当たり、本来なら大名になってもおかしくない立場なのだが、
彼はむしろ、江戸の庶民として生きることを望み、すべてを断って野に下ったのだ。
そして、瓦版屋のおれん(野川由美子)の店で、仕事を手伝いながら居候している。
だが彼は、高貴な生まれと波瀾万丈な生い立ちのため、市井に身を置いても平穏に
暮らすことはままならず、様々な事件に遭遇してしまうのだった。
この時期の時代劇は、高貴な身分の武士が、市井に現れて、庶民の窮状を救い、
悪を懲らしめるというパターンが、多数現れて定着した。
「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」そして本作「長七郎江戸日記」もその一つである。
主演の里見浩太朗が醸し出す品格と、周囲の人々のアットホームな雰囲気が人気を呼び、
本作は、1983年から8年間続く長寿番組となった。
本作の見所は何といっても、里見の二刀流の立回りだ。東映の大先輩、市川右太衛門
の華麗な殺陣を復権させようとして、舞い踊るような美しい剣さばきを見せている。
とりわけ、悪党どもを斬り捨てた後の回転しながら二刀を収める納刀シーンは圧巻。
(制作)NTV、ユニオン映画、東映(原作)村上元三(脚本)小川英、杉村のぼる
(主題歌)里見浩太朗「微笑みかけて」(作詞:荒木とよひさ、作曲:平尾昌晃)
(配役)松平長七郎(里見浩太朗)辰三郎(火野正平)おれん(野川由美子)沢木兵庫(三田明)牛吉(高品格)
三宅宅兵衛(下川辰平)田村右平次(加藤純平)おきみ(伏見尚子)おてる(藤吉久美子)松田伊織(伊吹剛)