誰も知らない愛   1975年(昭和50年)       ドラマ傑作選

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川野奈津(吉永小百合)は、外科病院に勤める医療事務員。


ある夕方、彼女はデパートで、かつて別れた昔の恋人・津山(新克利)に再会する。

だが、津山は逃げるように奈津の前から立ち去ってしまう。


奈津にとって津山は初恋の人であり、八年間愛し続けた人だった。

しかし、幼い妹・千里(水沢アキ)を養うため、結婚をあきらめた相手だった。


数日後、病院に津山の娘・恵が救急患者として運ばれてきた。

二度の偶然に動揺する奈津。

病室に見舞った奈津は、恵が母親を亡くしている事を知るのだった。




病院の事務員をする独身のヒロインが、八年ぶりに帰国したかつての恋人に出会う。

誰にも理解されないが、本人にとって本当に幸せな愛とは何かを問いかける作品。



1969年(昭和44年)日本映画の斜陽化とともに、吉永小百合は日活を退社。

彼女にとって遣り甲斐のある仕事の多いテレビドラマを主な活躍の場とした。


以後10年の間、TBS「東芝日曜劇場」に計18本と多数の出演を果たしている。

本作もその一本であり、吉永は一途な愛を貫く情熱的な女性を好演している。


1973年(昭和48年)には、テレビ・ディレクターの岡田太郎氏と結婚。

岡田氏が若い青年でなく、バツイチの中年男性だったことが世情を賑わした。


結婚式には、芸能界や各界の名士たちが大挙して現れ、豪華なものであった。

ただ、彼女の両親だけは、結婚に反対し、ついに式には姿を見せなかったという。


だがこれ以降、彼女の演技は、日活時代の清純で優等生的なイメージを脱皮し、
奔放で情熱的なヒロイン像を演じることが多くなった。


1981年(昭和56年)NHKドラマ「夢千代日記」では、大人の女性として内的情感を
豊かに表現し、視聴者はもちろん、批評家からも高い評価を受けている。
   

 
(制作)TBS(脚本)橋田寿賀子

(配役)川野奈津(吉永小百合)川野千里(水沢アキ)津山敬介(新克利)高森(浜田光夫)
津山亘(坂上忍)津山恵(二階堂千寿)



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