ドクターX〜外科医・大門未知子〜 2012年(平成24年) ドラマ傑作選
森本光(田中圭)は大学病院に勤める新米外科医である。
その日、彼は六本木のクラブで、同僚たちと合コンに参加していた。
合コンの最中、彼らの目の前で、突然、ひとりの男性客が倒れる。
同僚たちが「ヘタに手を出して、訴訟にでもなったら」と制止するのを振り切り、
森本は、倒れた客のもとに駆け寄り、診察を始める。
だが、なかなか原因が分からず、徐々に焦りが募る。
そこへ、フロアで踊っていた女性がやってきて「そんなんじゃ死んじゃうよ」と言い放つ。
彼女は、テキパキと森本に指示しながら、男性客のズボンを一気に下ろし、触診を開始する。
その女性は、到着した救急隊員に病状を的確に報告すると、森本を救急車に押し込み、
再び夜の街へと消えていった。
後日、森本の勤務する病院に、新任の外科医・大門未知子(米倉涼子)が着任する。
医師とは思えぬ派手な出で立ちでやってきた、その外科医を見て森本は驚く。
彼女はまさに、あの夜、クラブで完璧な応急処置をした女性だった。
大門未知子は、36歳のフリーランス外科医である。
大学病院の医局に属さず「医師紹介所」に所属しながら様々な病院を渡り歩いている。
彼女は、病院内の雑用は一切引き受けず、院内にありがちな権力闘争にも無関心。
私生活、職歴は謎に包まれ、報酬は桁違いに高いが、外科医としての腕は一流である。
今や大学病院は、本来の医療の精神とはかけ離れた価値観に支配され、権力と金にまみれた
医師たちがうごめく「象牙の塔」となっている。
本作は、大学病院を舞台にしながら、どこにでもありうる組織の腐敗を、軽妙なタッチと
キレのいい台詞で描きあげ、重いテーマを見事なエンタテイメントに仕上げている。
またドラマの構成には、最新の医療事情と細かなリアリティーが盛り込まれており、
医療専門家の評価も高いという。
昨今の医療ドラマブームをけん引している作品といえる。
(制作)テレ朝(脚本)中園ミホ
(配役)大門未知子(米倉涼子)神原晶(岸部一徳)城之内博美(内田有紀)久保茂(竜雷太)
毒島隆之介(伊東四朗)鳥井高(段田安則)森本光(田中圭)