どてかぼちゃ 1975年(昭和50年) ドラマ傑作選
かつて飛騨高山の旧制・飛騨二中で漢文を教えていた勘一郎(森繁久彌)は、その厳しい授業から
生徒たちに「鬼勘」と恐れられていた。
鬼勘は、ふたこと目には「この、どてかぼちゃ!」と生徒を叱り飛ばすのだった。
その勘一郎が担任をしていたクラスが、三十年ぶりに東京で同窓会を開くことになり、勘一郎は上京。
集まった教え子たちが、それなりに頑張っている姿に大満足する。
そして、しばらく東京に滞在して「教え子の成長ぶりを自分の目でしっかり見届けたい」と言い出す。
「だいこんの花」から続く「野菜シリーズ」の第七弾。
物語は、森繁扮する元教師の勘一郎が、かつての教え子たちの家庭訪問をしてゆくという内容。
だが、家庭訪問とは名ばかりで、教え子の家に逗留しては酒を飲んでオダを上げ、延々と説教を垂れるのだから、
いい年の大人になった元教え子たちとしては、始末に悪いことこのうえない。
それでも師弟関係というものは生涯を通して続くものであり、ずっと変わらないものである。
本作のタイトル「どてかぼちゃ」は、土手に自生するカボチャのように、どんな荒地でもつるをのばし、
実を結ぶ生き方をしてほしいという、勘一郎の教え子たちに向けた思いを表したものだという。
そんなタイトルそのままに、本作は勘一郎と教え子の確かなつながりを感じさせる様々なエピソードが、
毎回ほのぼのとしたタッチで綴られていくヒューマンドラマとなっている。
(制作)NET(テレビ朝日)(脚本)松本ひろし、向田邦子、ジェームス三木
(配役)小野勘一郎(森繁久彌)小野列子(岡田奈々)猪股利作(大坂志郎)工藤知茂(三橋達也)
若月勇(佐野浅夫)塩沢輝之助(牟田悌三)南(ハナ肇)