夫婦 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選
三人の子供に恵まれた高村勝利(芦田伸介)と伸枝(山岡久乃)夫婦。
末っ子・清人(篠田三郎)も、このたび結婚して家を出ることになった。
同居を望んでいた伸枝は寂しくてならない。
そこで、既に家を出ていた長男・昭人(村野武範)夫婦に同居を持ちかける。
だが、今さら家に戻れないと言われてしまう。
定年を迎えた寡黙な夫は、再就職もせず、家でゴロゴロしている。
こんな夫と、この先二人だけで暮らすと思うと耐えられない伸枝だった。
定年を迎えた夫婦の老後の問題を突きつけ、大きな反響を呼んだ辛口ホームドラマ。
子育てを終えた夫婦が、次男の結婚を機に、心のすれ違いに気づく。
妻は「子供たちに見放されるのなら死んだ方がまし」と本音丸出し。
夫は「子供達がいなくなったときに何も通い合うものがないのなら、
それは本当の夫婦ではなかったのだ」と寂しくつぶやく。
二人のすれ違いが、熟年離婚の危機すら迎えてしまう。
本作は、女のエゴを露わにする山岡久乃の演技に注目が集まった。
どこか陰気で、意地の悪い、女の執念を内に秘めた中年女をやらせたら、
おそらくこの人の右に出る女優はいないのではないか。
セリフの量も半端ではなく、長台詞を延々とぼやき、愚痴り続ける。
夫役の芦田伸介でなくても、視聴者はいたたまれなくなってしまう。
まさに「そこまで言うか」という橋田寿賀子ワールド全開のドラマとなった。
(制作)NHK(脚本)橋田寿賀子
(配役)高村伸枝(山岡久乃)高村勝利(芦田伸介)高村昭人(村野武範)高村悠子(音無美紀子)
高村清人(篠田三郎)田代弘子(秋野暢子)横井久子(結城美栄子)横井晴彦(角野卓造)
中尾峯子(泉ピン子)田代美代(文野朋子)大造(久米明)つぎ(村瀬幸子)