袋を渡せば   1964年(昭和39年)       ドラマ傑作選

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新婚早々の田所洋二(山内明)は、月給3万8千円のしがないサラリーマン。

月5千円のまったく自由のきかない小遣いで、会社関係の交際をやりくりしている。


ある朝、妻の佐和子(香川京子)が2万8千円で指輪を買ったことを知って逆上する。

じつは佐和子は、夫から受け取った給料の中から、毎月3千円をへそくっていたのだ。


だが、自分に無断で指輪を買ったことが許せない洋二は、憤然として家を飛び出す。


洋二はとりあえず、共稼ぎの兄夫婦の家にころがりこむ。

だがそこで洋二がみたものは、インスタント食品ばかりの味気ない食事だった。




給料が現金支給だった当時の、給料袋を介した夫婦間の心の交流を描いたホームドラマ。


給料袋を家庭に持ち帰る前に「どうやって少しピンハネするか」悪知恵を巡らせる旦那。

だが結局は、妻にバレて大喧嘩になってしまう。


香川京子と山内明が演じる夫婦が、台所や茶の間で追っかけたり、叩きあったりするのだが、
その動き、その表情、絶妙な間の取り方で掛け合う演技に、観る者は惹きこまれる。


本作は、脚本家・橋田寿賀子のテレビドラマ・デビュー作となった。

執筆のきっかけは、あるとき頭を下げて夫の月給袋を受け取る知人を見てヒントを得たという。

給料の半分は妻の権利。裏でどれだけ女が苦労しているかを伝えたかったと後の取材で語っている。
   

 
(制作)TBS(脚本)橋田寿賀子

(配役)田所洋二(山内明)田所佐和子(香川京子)居村くに(杉村春子)麻子(北沢典子)



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