二人の縁   1970年(昭和45年)       ドラマ傑作選

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木庭秀豊(伊志井寛)は、池に投身しようとする澄子(吉永小百合)を救い、家に引き取った。


不幸な影を宿す澄子を気に入った秀豊は、誰にも入室させないアトリエの掃除までさせる。


だが、嫁いだ秀豊の娘・辰子(中原早苗)や、息子の連介(波多野憲)にとっては面白くない。


まさかと思うが、二人の間に子供が出来て、財産を横取りされたら、と案じた辰子と連介は、

澄子を、雑誌記者の三園(長谷川哲夫)と結婚させることにした。


秀豊は、心の寂しさを抑えて、やむなく同意するのだった。






1969年「小説新潮」に掲載された芥川賞作家・芝木好子の同名短編小説のドラマ化。


妻に裏切られ、女性不信に陥った68歳の老画家と、男に裏切られ、傷心の22歳の女。

そんな二人の魂が、静かに寄り添う姿を叙情的に描いている。


不思議な縁で出会ったこの二人の物語は、昔の民話のような雰囲気を感じさせる。

民話では、非現実なことが当たり前に起こり、そこにファンタジーが生まれる。


過去のことは一切語ろうとしない澄子は、まるで異界からやって来た存在のようだ。

人に幸運を与える異界の住人よろしく、老画家に生き甲斐というご利益をもたらしている。

まさに本作は、澄子と名乗る異界の乙女をヒロインとしたファンタジーの傑作だ。



(制作)TBS(原作)芝木好子(脚本)橋田寿賀子

(配役)澄子(吉永小百合)木庭秀豊(伊志井寛)木庭辰子(中原早苗)

木庭連介(波多野憲)ハル(菅井きん)三園(長谷川哲夫)


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