月光仮面   1958年(昭和33年)       ドラマ傑作選

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月下の東京郊外。蔦のからまる煉瓦塀を巡らせた洋館に、折しも奇怪な風体の賊が忍び込んだ。


その家の主人である老紳士と令嬢の命は、まさに風前の灯。

凶弾が放たれようとしたその時、おなじみの主題歌が聞こえて来る。


♪月の光を背に受けて 仮面にかくしたこの心...♪

そして中庭の植え込みにたたずむ、純白の人影。


「そこにいるのは誰だ、何者だ!」

「月よりの使者、正義の味方、月光仮面!」






白いマントを颯爽となびかせ、悪人をやっつける正義の味方・月光仮面は、テレビヒーロー物の先駆けとなった。

この国産ドラマは、広告代理店・宣弘社がアメリカ映画「スーパーマン」の人気にヒントを得て手がけたもの。


だが制作費は、1話につき10万円の超低予算。ちなみに当時の公務員の初任給が10万円程度。

撮影スタジオが確保できず、宣弘社の社長自宅が探偵事務所、車庫が敵のアジトだった。

「週刊新潮」からは「暴力シーンも多く、安かろう悪かろうという低俗ドラマの見本」と酷評されてしまった。



しかし当時は、子供は勿論、大人からお年寄りまで、月光仮面を知らない人はいなかった。

なにせ平均視聴率40%以上、最高視聴率はなんと68%と言うお化け番組。

番組の放送される時間帯になると銭湯から子供の姿が消えてしまうほどだった。



そして子供達の間では当然の事ながら「月光仮面ごっこ」が大流行!

家にある風呂敷や布団のシーツを勝手に持ち出し、マント替わりにして遊び、大目玉を喰らったものである。


月光仮面は社会現象となり、当時無名であった東映の大瀬康一は、この作品で一躍人気スターになった。

以後「豹の眼」(1959年)「隠密剣士」(1962年)とテレビドラマの主役を務めることになるのである。
   

 
(制作)TBS(KRT)宣弘社(原作)川内康範(監督)船床定男

(配役)祝十郎(大瀬康一) 袋五郎八(久野四郎) カボ子(宇野よし子)繁(日吉としやす)
木の実(猿若久美恵)松田刑事部長(佐藤一郎)山本記者(大塚周夫)



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                                              月光仮面