弦鳴りやまず   1984年(昭和59年)       ドラマ傑作選

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娘・久子(樋口可南子)の音楽生活三十周年記念コンサートが始まろうとする

会場の楽屋で、父・吉之助(中村嘉葎雄)は、落ち着かない思いをしていた。


この日、吉之助は、久子のためにオーケストラの指揮をすることになっていた。

それは、古い付き合いになる正一郎(鹿賀丈史)のいきなはからいだった。

開幕前のざわめきの中、吉之助は遠い昔に思いをはせる…。


無頼派の音楽家といわれる辻吉之助と、その娘で大阪に生まれ育ったバイオリニスト、

辻久子の波乱に満ちた半生を、中村嘉葎雄と樋口可南子の共演で描く。




物語には、父親の厳しい教育ぶりがクローズアップされている。

活弁のバックでバイオリンを弾いていた吉之助が、自分の夢を娘の久子に託して、

バイオリンを教え込む。


この辺りのドロ臭いストーリーは、かつて花登筺がよく用いたパターンで、

いかにも関西人好みだ。このドラマも大阪の毎日放送の制作である。


役者もなかなか達者で、久子の少女時代を演じる田中景子(小学六年生)は、実際に

西日本バイオリンコンクールで一位になった腕前だというから違和感がない。


問題はおとなになってからの話。辻久子役の樋口可南子はバイオリンはまるきしダメ。

一カ月間の特訓を受けたものの、そうはたやすく弾けるはずもなく「弦鳴らず」の状態。

そこで、演奏部分はすべて辻久子本人が吹き替えて弾くことになった。


わざわざ演奏会にでも行かなければ聞けないバイオリンがお茶の間のテレビで手軽に

…のオマケが。 音色はもちろん、イタリアの名器「ストラディバリウス」である。



(制作)MBS(毎日放送)P.C.J.(脚本)鵜飼正英、奥野知永子

(配役)辻久子(田中景子/樋口可南子)辻吉之助(中村嘉葎雄)大谷正一郎(鹿賀丈史)とよ子(結城美栄子)

古本(柄本明)池田サトシ(阿部祐二)中山(小林薫)園田(岸部シロー)オイストラフ(ピエール・バルー)


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