ハゲタカ 2007年(平成19年) ドラマ傑作選
鷲津政彦(大森南朋)は、米国投資ファンド会社の社長である。
経営の悪化した企業や銀行が抱える不良債権を、情け容赦なく買収する彼は、
世間から「ハゲタカ」と呼ばれるようになる。
鷲津は、手始めに、かつて勤めていた三葉銀行の不良債権を買い叩いた。
価値のない不良債権については、1件1円で買い取るというすさまじさだ。
そんな彼は、かつて銀行員時代に、自らの貸し渋りで小さな町工場の社長を
自殺に追いやってしまった過去を持つ。
その葬儀で「人殺し!」と遺族になじられたことが、彼の生き方を大きく変えた。
バブルが崩壊した当時、企業への貸し渋りは、銀行側の至上命令だったのだ。
今回の買い叩きは、利益第一主義に走り、弱者を切り捨てる銀行への復讐でもあった。
投資ファンド会社の社長を主人公に、企業買収劇にまつわる人間模様を描いた経済ドラマ。
村上世彰が逮捕された「村上ファンド事件」、堀江貴文が逮捕された「ライブドア事件」など、
企業買収に関わる事件が世を騒がせていた当時、本作は時宜にかなったドラマとして注目された。
物語は、バブル崩壊後の日本を舞台に、冷徹な企業買収で「ハゲタカ」の異名をとるファンド会社の
社長・鷲津と、エリート銀行員・芝野との攻防戦を軸に、野望と挫折の人間ドラマが描かれる。
二人はかつて銀行で上司と部下の関係だったが、その後対照的な道を歩んだ両名のぶつかり合いは
凄味に満ち、その重厚な「男たちの戦い」にしびれる人が続出した。
また、本作に登場した「ハゲタカ」「TOB」などの目新しい経済用語も話題となった。
(制作)NHK(原作)真山仁(脚本)林宏司
(配役)鷲津政彦(大森南朋)芝野健夫(柴田恭兵)飯島亮介(中尾彬)三島由香(栗山千明)
西野昭吾(宇崎竜童)西野治(松田龍平)西野史子(永島暎子)