花祭 1982年(昭和52年) ドラマ傑作選
若林彩子(十朱幸代)は、小田原にある香水研究所で調香師として働く兼業主婦。
彩子の夫・研三(平幹二朗)は、一年のうち半分以上も家をあけている貿易商だ。
同居する母(沢村貞子)は、たまに帰宅する息子の研三を溺愛している。
生活上は何不自由ない彩子だが、やはり心理的には空虚と忍耐の連続であった。
そんなある日、彩子は亡き兄の面影をもつ青年調香師・彰吾(田中健)と出会う。
物語は、調香師・彰吾(田中健)が、海外出張から帰ってくるところから始まる。
彰吾は研究所長(鈴木瑞穂)から、新任の調香師・彩子(十朱幸代)を紹介される。
出張の間、彰吾には、所長の娘・美佐子(小林麻美)との縁談が持ち上がっていた。
ドラマの第一回は、そうした登場人物の紹介が、それぞれ丁寧に描き出されている。
彩子と夫の研三(平幹二朗)、やがて結婚するであろう彰吾と美佐子、二組の夫婦を
中心に、波乱に満ちた人間模様が織り成されていくと予想される滑り出しだ。
因みに調香師というのは、香水などの香りを調合する仕事で、何千何百という香りを
嗅ぎ分けなくてはならないという。
つまり香水づくりのプロのことで、高度な臭覚が要求される特殊な技能といってよい。
どうやら家庭の主婦が片手間に出来る仕事ではないようだ。
また、タイトルの「花祭」は、毎年八月に南フランスで開催される花祭りをイメージ
したものだが、物語の舞台も、やがて香水の本場である南仏まで広がるということで、
今後の展開に期待を持たせるドラマとなっている。
(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝
(主題歌)高橋真梨子「カムバックトゥーミー」(作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一)
(配役)若林彩子(十朱幸代)若林研三(平幹二朗)若林文栄(沢村貞子)小出彰吾(田中健)
後藤信一(鈴木瑞穂)美佐子(小林麻美)内山良司(寺泉哲章)美作幸雄(山村聡)藤沢紀代(野際陽子)