半分正しい 1982年(昭和57年) ドラマ傑作選


佐伯清(細川俊之)は今年、厄年の42歳。食品会社に勤める普通のサラリーマンだ。
東京郊外にローンでマイホームを購入。妻・妙子(佐藤オリエ)、娘のひとみ(伊藤かずえ)、
息子の毅(若山雅弘)の4人で暮らしている。
あるとき佐伯は出張の途中で、自社の販売ルートに別の会社が入っていることをつかみ、
課長の泉(菅野忠彦)に報告する。
この功績に上層部が佐伯を再評価するかに見えたが、実はこの話はデマの情報であった。
デマに踊らされたことを恥じるとともに、佐伯は自分自身に幻滅を感じるのだった。
出張明けの休日、公園を散歩する佐伯に、会社の女性社員りえ(真行寺君枝)が近寄って来た。
だが二人で親しげに話し合っているところを、あいにく娘のひとみに見られてしまうのだった。
会社では仕事の責任を問われ、家では会社の部下との浮気がばれて、妻に口もきいてもらえない。
実直な食品会社の営業係長・佐伯の孤独が描かれる。
やがて佐伯は、ちょうど持ち上がった旭川支店勤務の話に乗り、旭川への単身赴任を願い出る。
しばらく一人で仕事や家庭を見つめ直したいのと、何よりも、りえとの間を清算したかったのだ。
ところが赴任後、休暇をとったりえが、佐伯の後を追うように、旭川にやって来るのだった…。
哀愁漂う中年サラリーマンを、細川俊之が快演している。
この当時は高度成長後の不況が長引き、窓際族や夕暮れ族などという言葉が氾濫する世相の中で、
世の中年サラリーマンたちは、漠然とした不安に苛まれていた。
彼らは職場で厳しい状況に置かれていることに加えて、家庭においても居場所を失いつつあった。
昔なら、夫が浮気をしても暴力を働いても、妻は耐えしのぶしかなかったが、今はその必要がなくなった。
女性の就職の機会はいくらでもあるし、夫に頼らなくても生活していくことができるからだ。
ドラマの中でも、妻の妙子は、将来託児所を経営する夢を持っている。それにひきかえ亭主である佐伯は
自分の将来を考えると、ひたすら寂しくなってしまうのだった。
とりもなおさず、妻の立場が強くなったということで、本作は当時の家庭事情も反映したドラマといえる。
(制作)NHK(脚本)横光晃
(配役)佐伯清(細川俊之)妻・妙子(佐藤オリエ)娘・ひとみ(伊藤かずえ)息子・毅(若山雅弘)
星野りえ(真行寺君枝)課長・泉秀作(菅野忠彦)大竹(岸部一徳)
