氷点   1966年(昭和41年)      ドラマ傑作選

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ある夏、北海道旭川市郊外の林で、3歳の娘が殺される。


父親、辻口病院長の啓造(芦田伸介)が出張中の出来事だった。

母親の夏枝(新珠三千代)は、そのとき眼科医の村井と密会中だった。


夏枝と村井の仲に疑いを抱いた啓造は、妻への復讐のために、
自殺した犯人の娘を養女として迎え入れる。


事実を知らない夏枝はその娘に陽子と名付け、失った娘の代わりに愛情をもって育てる。


だが七年後、偶然に啓造の日記を見た夏枝は、陽子が殺人犯の娘であることを知る。

夫の残酷な行いに気づいた夏枝は、激しい憎悪に駆られ、思わず陽子の喉に手をかけるのだった。




朝日新聞の一千万円懸賞小説に入選した三浦綾子の同名小説をドラマ化したもの。


ある病院長の妻が、病院の医師と密会している間に、幼い娘が誘拐され殺害される
という事件が起きる。


これが発端で愛と憎しみの葛藤が生まれ、ついには妻が養女を自殺にまで
追い込んでしまうという物語。


人間の原罪をテーマに、愛することの哀しさと恐ろしさを描いたドラマで
最終回の視聴率は42.7%を記録した。


母親役の新珠三千代は、東宝の看板女優だったが、完璧な「憎まれ役」を演じたために
東宝側は「イメージを落としては」と心配したが、当の新珠は大いに乗っていたという。


薄幸の養女役を演じた内藤洋子は、当時高校二年生、テレビ初出演だったが、
茶の間の視聴者の涙を大いに誘い、これ一作で大スターになった。
   

 
(制作)テレビ朝日(NET)東宝(原作)三浦綾子(脚本)楠田芳子
(配役)辻口啓造(芦田伸介)辻口夏枝(新珠三千代) 辻口陽子(内藤洋子)村井靖夫(田村高広
辻口徹(岸田森)藤尾辰子(市原悦子)



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