いつか花嫁 1993年(平成5年) ドラマ傑作選
名古屋で広告代理店に勤めるキャリアウーマンの菊子(高木美保)は32歳。
結婚を焦る彼女に、資産家の息子・篠田(筧利夫)が好意を寄せプロポーズする。
父に話すため、法事のついでに故郷・福井に帰った菊子だが、なかなか言い出せないまま
数日間滞在することに。
そんなある日、父の教え子で、福井の水族館で館長を務める手島(平田満)に再会する。
丹波哲郎扮する男ヤモメの父と、三十過ぎて独身の高木美保扮する娘。
反発する父娘の交流を描いたライトコメディー。
ドラマは父を嫌って家を出た娘・菊子が、母の十三回忌のため福井の実家に戻る。
淋しい老人暮らしと思っていた父親は、地元の水族館長だったころの教え子の世話や
趣味で元気に忙しく暮らしていた。
菊子は、かつて父が水族館中心で家族のことをかえりみず、母が亡くなったときも
水族館で病気の魚に付き添っていたことに確執があり、素直になれない。
彼女は名古屋で、実業家の恋人と結婚の約束をしているのだが、父の教え子だった
手島に、同じく好意を寄せられプロポーズされる。
主演の高木美保はこの当時、フジTV系「華の嵐」「夏の嵐」など、良家の令嬢役で
ドラマ主演が続き、順調にキャリアを重ねていた時期だった。
本作は、等身大のOL役で、都会で待つ青年実業家の恋人と、故郷で再会した中年近い
水族館長、対照的な二人の求婚者の間で揺れ動く女心を細やかに演じている。
また父親役の丹波哲郎(70歳)が、昔気質の元・水族館長を彼ならではの持ち味で
演じ、老成した名演を見せている。
(制作)NHK(脚本)金子成人
(配役)富山菊子(高木美保)富山安治(丹波哲郎)手島国夫(平田満)篠田英明(筧利夫)
富山恭一郎(田山涼成)津坂善吉(加藤武)石本常子(たかべしげこ)看護婦(咲田とばこ)