事件 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選
スナックを経営する坂井ハツ子(いしだあゆみ)の遺体が神奈川県下の山林で発見された。
容疑者とされた上田宏(丹波義隆)は、被害者の妹・ヨシ子(大竹しのぶ)と同棲中だった。
ヨシ子は妊娠しており、お腹の子供は宏の子だった。
殺されたハツ子は、妹を思う気持ちと渦巻く嫉妬心から、二人の結婚に反対していた。
殺害は認めながらも殺意は否認する宏。
宏の弁護を担当した菊池(若山富三郎)は、事件の真相究明に奔走する。
大岡昇平のベストセラー法廷小説を若山富三郎主演でドラマ化したもの。
19歳の工員が、同棲相手の姉であるスナックのママを刺殺する事件が発生した。
姉妹が彼を巡って争っていた事実が、法廷で明らかになっていく。
若山富三郎の演じる菊池弁護士は、かなりルーズな性格のようだ。
しょっちゅう公判に遅刻したり、眼鏡をどこかに置き忘れたりしている。
そんな菊池が、ここで明らかにするのは、殺人・死体遺棄容疑の真相である。
事件の背景にある被告らの複雑な人間関係を解明していくのだ。
殺されたハツ子は、水商売を転々と経営してきたが、すべてうまくいかない。
ろくでもない男に憂き身をやつしてもいる。
しかも妹のヨシ子は、その男の子供を身籠っている。
そんなドロドロとした人生の修羅場の中から、真相を探っていくのである。
人情味溢れた弁護士役の若山の、ひょうひょうとして温かみのある演技が
好評を呼び、翌年から、年一本、四週完結のペースでシリーズ化された。
(制作)NHK(原作)大岡昇平(脚本)中島丈博
(配役)菊池弁護士(若山富三郎)坂井ハツ子(いしだあゆみ)坂井ヨシ子(大竹しのぶ)坂井すみ江(佐々木すみ江)
坂井キネ(鈴木光枝)上田宏(丹波義隆)岡部検察官(勝部演之)宮内辰造(石橋蓮司)清川民蔵(沼田曜一)
上田喜平(垂水悟郎)篠崎かね(北城真紀子)大村吾一(殿山泰司)谷本裁判長(宮口精二)