柔道一直線 1969年(昭和44年) ドラマ傑作選
「足でピアノを弾いたドラマ」として伝説となっているのが、この柔道一直線である。
1970年の第54話で、近藤正臣演じる柔道の名手・結城真吾が、ピアノの鍵盤の上に立って
「ねこふんじゃった」を足の指先で華麗に演奏する場面が登場する。
キザ男の美学満載のシーンだが、番組最大のマジカルミステリーとして語り継がれている。
番組自体は、梶原一騎原作のスポーツ根性もので、特撮を取り入れたドラマである。
高校柔道部員・一条直也(桜木健一)と元柔道家の車周作(高松英郎)との波乱万丈の師弟関係が
荒唐無稽な必殺技とともに描かれる。
完全無接触で投げる「真空投げ」や、投げられたら体を海老反りにしてブーメランの要領で返ってくる
「海老車」という人間には不可能な技など、次々と衝撃的な必殺技が繰り出される。
極めつけは、鬼車こと車周作の必殺技「地獄車」だ。
相手の力を利用する形で倒れこみ、そのまま思いきり回転しながら、相手を何度も地面に叩き付けて
最悪の場合死に至らしめるという、文字通り地獄行きの技である。
かつて周作は、この技で対戦相手を殺してしまい、柔道界を追放された。
その後、直也と運命的な出会いをし、直也はこの技に魅入られて周作の弟子になった。
まさに必殺技のオンパレード、SFのようなスポ根ドラマだった。
(制作)TBS、東映(原作)梶原一騎(脚本)佐々木守
(配役)一条直也(桜木健一)車周作(高松英郎)高原ミキ(吉沢京子)結城真吾(近藤正臣)風祭右京(佐々木剛)