風邪を一晩で治す方法 (ネギ湿布)

温めたネギをガーゼで包んで、のどに当てるだけで、簡単にネギ湿布ができます。

寒くなったり、暖かくなったりして安定しない最近の天候で、風邪をひく人が多いようです。
風邪をひいてしまったら、早く治すことが大事。

そういえば、風邪をひいて、のどが痛くなると、おばあちゃんがネギをガーゼに包んでネギ湿布を作り、首に巻いてくれましたね。
ネギって風邪を退治してくれるのでしょうか?
 
 
ネギが風邪に効くのは、抗菌・殺菌作用がある 「硫化アリル」 を含んでいるから。


女子栄養大学・栄養クリニック (東京都豊島区) の 蒲池桂子博士は、「硫化アリルは、揮発性で熱に弱く分解されやすい。
体温で温められたネギから、硫化アリルが出て、口や鼻を通り、のどのはれを抑えてくれる」 と説明しています。
 
ネギの硫化アリルは、ネギ独特の辛味成分のこと。
ネギを切ったり、皮をむいたりした時、鼻につくにおいの正体でもあります。

熱に弱いため、首に巻けば、体温でジワリジワリと硫化アリルが染み出してくる。
ネギ湿布を作る時、ネギを軽く火であぶったり、ゆでたりするのも硫化アリルが出やすいようにするためです。

首にネギ湿布をするのは、長時間効果を得るにはちょうど良い場所なのかもしれません。
 
染み出た硫化アリルは、のどや鼻に付いている病原菌を追い払い、のどの痛みや鼻づまりまでも和らげてくれます。
ネギの生産者が、皮むきなどの調製作業をしていると、鼻の通りが良くなるというのもこの硫化アリルのおかげです。
 
硫化アリルには抗菌・殺菌作用のほか、体を温める効果や、催眠作用があります。
風邪によるのどの痛み、鼻づまりを緩和し、ゆっくりと体を休ませくれるので、総合感冒薬並みの効果があるといえます。
 
硫化アリルは、ネギの白い部分に多いようです。
ネギ湿布の時には、使う部分に注意が必要になります。
 
ネギ湿布だけでも効果があるのだから、食べれば、風邪予防の効果は大きいのです。
寒い季節になると、硫化アリルを含んだネギをたっぷり入れた鍋を食べるのは、昔の人の知恵からきているかもしれません。
 
 
栄養クリニックで食品の機能性を生かした食事療法を指導している蒲池博士によると、硫化アリルの力は、まだまだあるといいます。
硫化アリルは、ビタミンBと結合して吸収を助ける力もあるので、「豚肉や豆腐、納豆などと一緒に食べることで、効率よくエネルギー代謝ができて、疲労回復に最適」とか。

さらに、消化液の分泌を促し、食欲増進や腸を整えてくれる。血液をサラサラにする効果もあり、「弾力のある血管も作ってくれる」(蒲池博士)。
このほか、変わったところでは、水虫にも効果があることが分かってきました。
 
さまざまな効能があり、まさに「薬味」。
昔から知っていたおばあちゃんの知恵もすごいけれど、薬にも負けない力を秘めたネギもすごい野菜ですね。

(2004年11月17日付 日本農業新聞より)