警部補・古畑任三郎 1994年(平成6年) ドラマ傑作選
古畑任三郎(田村正和)は、警視庁捜査一課のベテラン刑事である。
ある晩、古畑は、長野から東京へ向かう途中、車がガス欠で立ち往生してしまう。
近くに古い洋館があることに気づいた古畑は、電話を借りるために洋館を訪れた。
彼を招き入れたのは、コミック作家の小石川ちなみ(中森明菜)だった。
彼女は古畑に、洋館の地下金庫で、男が窒息死していることを伝える。
警察に通報したが、大雨による土砂崩れで、すぐに来られないという。
金庫室内に入った古畑は、一人の男が酸欠で倒れている事を確認する。
被害者は、雑誌編集者の畑野という男で、彼女が死体の第一発見者だった。
現場検証をした古畑は、被害者の頭部に打撲痕を見つけ、殺人事件だと断定する。
男は、コミック漫画の原稿用紙とペンを握りしめた状態で死亡していたが、
犯人に繋がるメッセージらしきものは記されていなかった。
警部補の古畑が、その独自の推理で事件を解決するライト感覚の連続ミステリー。
通常、推理ドラマは、犯罪の背後の複雑な人間関係や心理に焦点を当てる。
だが、このドラマは、あらかじめ犯行場面が描写されるため、視聴者は、犯人が
分かっており、古畑がいかに犯人のトリックを見破るかが見どころとなっている。
古畑と犯人とのやり取りを軸に、室内劇が展開される一方、視聴者もゲーム感覚で
謎解きに参加して楽しむことができる。
本作のもう一つの魅力は、毎回登場する犯人役に扮する大物ゲストの顔ぶれである。
人気コミック作家の小石川ちなみ(中森明菜)、歌舞伎役者の中村右近(堺正章)、
敏腕弁護士の小清水(明石家さんま)など、豪華ゲストが多数登場している。
なお、第1話の劇中で、中森明菜演じる犯人が「あんな男のためにどうして私の人生、
棒に振らなくちゃいけないの」という、意味深なセリフも話題になった。
(制作)フジテレビ(脚本)三谷幸喜
(配役)古畑任三郎(田村正和)今泉慎太郎(西村雅彦)西園寺守(石井正則)
第向島音吉(小林隆)小石川ちなみ(中森明菜)畑野茂(池田成志)