恋人たちのいた場所 1986年(昭和61年) ドラマ傑作選


会社をやめ失業中の男がある晩、アパートの近くのゴミ置き場で若い女を見かける。
どこか寂しげな風情に惹かれ、思わず女のゴミ袋を持ち帰ってしまう。
独り暮らしを思わせるゴミの中から、一枚のメモが出てくる。不倫のにおいがした。
男はそれ以来、女の出したゴミ袋を盗むようになり、空想中の女に恋をする。
道路わきに捨てられたゴミ袋。見慣れた光景だが、その中には個々の生活の断片だけでなく、
他人に知られたくない秘密も混じっているかも知れない。
そんなゴミ袋がとり持った、不思議な恋の行方を描いた異色作。
男の行為は奇妙だが、決してゆがんだ人間には描かれていない。
気が小さくて不器用だから、結末のところで女が手を差し伸べてきても、応えてやれないのだ。
もどかしくも切ない愛を、小林薫と樋口可南子が細やかに演じている。
ちなみに、本作には「ゴミうさぎ」が登場する。
これはゴミ袋(ビニール製)の手提げ部分を結ぶと、ウサギの耳に見えることから、
ヒロインがゴミ袋に赤マジックで、目、鼻、口を描き、ゴミうさぎと命名したもの。
樋口可南子本人が描いたそうで、なかなかの絵となっている。
(制作)TBS(原作)黒井千次(脚本)竹山洋
(配役)瀬田和彦(小林薫)田中信子(樋口可南子)信子の恋人(村井国夫)
信子の叔父・川上菊次(織本順吉)宮本善男(矢島健一)春枝(丘さとみ)吉岡(阿藤快)
